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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科40巻1号

2012年01月発行

文献概要

症例

IVR-CT/angio systemによる術前の画像診断が有用であった脊髄hemangioblastomaの1例

著者: 谷正一1 芦田信示2 米田弘幸1 吉岡奈央1 岡田光正2 川端康弘1 新田武弘1 山下耕助1

所属機関: 1大阪赤十字病院脳神経外科 2大阪赤十字病院画像診断部

ページ範囲:P.49 - P.54

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Ⅰ.はじめに

 脊髄hemangioblastomaの摘出手術の際の出血コントロールのためにはfeeding arteryやdraining veinの処理が重要であるが,術中損傷を避けるべき正常組織が狭い術野の中で病変部に隣接しているため,関係する血管との位置関係の情報を術前に得ることは,安全な手術操作にとって非常に有用である.しかし,一般の脊髄血管造影(disital subtraction angiography:DSA),3D-CT angiography(3D-CTA)などは,腫瘍や周囲の椎弓骨,脊柱,feeding artery,draining veinなどの3次元上の相対的位置関係を詳細に検索するには一長一短があり,複数の検査結果をお互いに突き合わせることで,術者の想定上に全体像が構築される.腫瘍が元来小さいことと,腫瘍への血流が肋間動脈から根動脈,脊髄動脈を経由してようやく到達することが,腫瘍とその成分の空間的および時間的な描出を不十分・不完全にさせる原因と思われるが,本報告では,脊髄DSAの際にカニュレーションされた肋間動脈から造影剤を注入して3D-CTAで病変を検出することで,従来の検査法による放射線学的情報を一度に鮮明な解像度でコンピュータに3次元情報として記録できることを提示する.さらにCT装置とDSA装置を縦列させて1つのベッドで両者の撮影が可能なIVR-CT/angio system(IVR:interventional radiology)を利用すれば,上述の検出方法を実施するための一連の操作を,部屋から部屋への患者の移送なしに簡便に施行できることを紹介する.

参考文献

1)Hasegawa M, Fujisawa H, Kawamura T, Yamashita J, Matsui O:The efficacy of CT arteriography for spinal arteriovenous fistula surgery. Neuroradiology 41:915-919, 1999
2)釜本寛之,堀部俊哉,工藤幸正,平良淳一,杉本勝俊,目時 亮,古市好弘,宮原健夫,森安史典:肝細胞癌に対するTranscatherter Arterial Chemoembolization(TACE)におけるIVR-CTの有用性について.肝臓48:589-597, 2007
3)Tomura N, Hashimoto M, Sashi R, Hirano H, Kobayashi M, Hirano Y, Satoh K, Watarai J, Kowada M:Superselective angio-CT of brain tumors. AJNR Am J Neuroradiol 17:1073-1080, 1996
4)吉岡邦浩,田中良一:Adamkiewicz動脈のCTAとMRA.J Jpn Coll Angiol 49:517-521, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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