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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科40巻11号

2012年11月発行

文献概要

症例

後硬膜動脈がPICAの側副路となった椎骨解離性動脈瘤の自然閉塞の1例

著者: 荒井篤1 宮本宏人1 蘆田典明2 甲村英二3

所属機関: 1製鉄記念広畑病院脳神経外科 2兵庫県立姫路循環器病センター脳神経外科 3神戸大学脳神経外科

ページ範囲:P.997 - P.1002

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Ⅰ.はじめに

 非出血発症の椎骨動脈解離は,一般に予後がよいために保存的治療が第一選択となる.瘤様拡張部が認められた場合は,より慎重な経過観察が必要で,瘤様拡張部の増大時には出血予防のための手術治療が考慮される.今回われわれは,疼痛発症の後下小脳動脈(PICA)involved typeの椎骨解離性動脈瘤が,後硬膜動脈を側副路としてPICAが温存され,自然閉塞した稀な経時的変化を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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