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研究
開頭術時に眼球にかかっている圧はどれくらいか?:FlexiForceセンサーを用いた測定
著者: 岡田健1 石川達哉1 西村弘美2 鈴木明文1
所属機関: 1秋田県立脳血管研究センター脳神経外科診療部 2秋田県立脳血管研究センター脳神経外科研究部
ページ範囲:P.1071 - P.1077
文献購入ページに移動眼科以外での手術後に,失明などの視力障害の発症を0.05~1%に認めることが以前から報告されており,その原因として,直接的な視神経損傷以外に,虚血性視神経症,網膜中心動脈閉塞症,網膜中心静脈閉塞症,皮質盲などが考えられている2,3).両側前頭開頭や前頭側頭開頭後においても1%以下の頻度ではあるが失明を来す報告があり,いったん発生するとその予後は極めて不良とされている2,3).開頭手術時に失明を来す要因としては,翻転された皮膚弁により眼球に圧迫が加わることで眼球内圧が亢進し,網膜や視神経を栄養している網膜中心動脈や短後毛様体動脈の循環不全を来すことが一因であると考えられている2).
当施設でも,前交通動脈瘤に対する両側前頭開頭でのbasal interhemispheric approachによる手術後に,片側の視力障害を呈した例を経験した.そこで2008年より開頭術時にFlexiForceセンサー(A201-1,ニッタ,大阪)による眼圧モニタリングを開始した.既に本センサーが眼球への過度の圧迫を防止する上で有効であることを報告したが4),今回症例を蓄積し新たな知見を得たので,その結果を報告する.
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