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症例
周産期に進行性脳梗塞にて発症し両側頭蓋外内血行再建術を行ったもやもや病合併妊娠の1例
著者: 佐々木貴史1 藤村幹1 赤松洋祐1 木村尚人1 江面正幸1 上之原広司1 明城光三2 冨永悌二3
所属機関: 1国立病院機構仙台医療センター脳神経外科 2国立病院機構仙台医療センター産婦人科 3東北大学大学院神経外科学分野
ページ範囲:P.1095 - P.1099
文献購入ページに移動もやもや病は両側内頚動脈終末部,前および中大脳動脈近位部が進行性に狭窄・閉塞し,その付近に異常血管網の発達を認める原因不明の疾患である8).もやもや病の男女比は1:1.8と女性に多く,その発症年齢は10歳以下を中心とする若年型と30~40歳を中心とする成人型の二峰性を示す7,8).近年のmagnetic resonance imaging(MRI)/ magnetic resonance angiography(MRA)などの非侵襲的な診断技術の向上により7),もやもや病との診断がなされた患者が妊娠・出産を経験する機会も稀ではなくなってきている.
脳虚血症状を有するもやもや病に対しては,直接および間接血行再建術が有効な治療法として確立している3,8).しかしながら,妊娠中に虚血症状を呈して初発するもやもや病合併妊娠例に対しては,治療のタイミングを含めた手術適応,ならびに周産期の管理方法についての明確な指針が存在しないのが実情である5,6,9).今回われわれは,妊娠後期に進行性脳梗塞にて初発し,緊急帝王切開術後に二期的に両側頭蓋外内血行再建術を施行し,良好な結果を得たもやもや病合併妊娠の1例を経験したので報告する.
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