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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科40巻3号

2012年03月発行

文献概要

読者からの手紙

「柔道における重症頭部外傷」の論文(39(12):1139-1147)について--柔道事故予防に,脳神経外科医の火急の役割

著者: 藤原一枝1 永廣信治2

所属機関: 1東京都立墨東病院脳神経外科 2徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部情報統合医学講座脳神経外科学分野

ページ範囲:P.277 - P.279

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 教育基本法の変化に応じて,2008年度に改訂された新学習指導要領により,2012年4月から中学1,2年の男女(約240万人)に,武道が“必修化”される.武道(柔道・剣道・相撲)の選択は学校ごとであるが,既に7割程度が柔道を選択している.経験の有無を問わず指導は体育科教諭によるので研修があり,武道場の整備も進んでいる.

 ところが,文部科学省外郭団体の日本スポーツ振興センターが1983年から集計している「学校管理下の死亡・障害」事例から,中学・高校でのスポーツ事故を解析した教育学者・内田良の研究(2010年)5)により,柔道による死亡が27年間に110例と多く,他のスポーツより死亡確率も高い,事故は初心者に多い,死因に急性硬膜下血腫が多く転帰不良であることが,“社会的に”初めて明らかになった.

参考文献

1)平川公義,橋爪敬三,淵之上徳郎,中村紀夫:スポーツによる脳外傷のパターン.脳・神経外傷3:19-26, 1971
2)小林士郎,横田裕行,中沢省三:柔道による急性硬膜下血腫.臨床スポーツ医学7:411-416, 1990
3)宮崎祐介:急性硬膜下血腫の発生メカニズムとその予防に向けて─力学的手法によるアプローチ.第4回シンポジウム「柔道事故撲滅に向けてのアプローチ」講演録(主催:全国柔道事故被害者の会),2011
4)Nishimura K, Fujii K, Maeyama R, Saiki I, Sakata S, Kitamura K:Acute subdural hematoma in judo practitioners -Report of four cases-.Neurol Med Chir (Tokyo) 28:991-993, 1988
5)内田 良:柔道事故─武道の必修化は何をもたらすのか (学校安全の死角 (4)).愛知教育大学研究報告59(教育科学編):131-141, 2010
6)山野清俊,杉山義昭,藤井博之,石倉 彰,冨子達史,駒井杜詩夫:柔道による脳外傷について.臨床スポーツ医学4:985-991, 1987
1)柔道の安全指導,財団法人 全日本柔道連盟(2011年第三版)(www.judo.or.jp/data/docs/print-shidou.pdf)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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