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編集後記 フリーアクセス
著者: 伊達勲
所属機関:
ページ範囲:P.476 - P.476
文献購入ページに移動どこの病院でもしばしば問題になるのがカルテの保存である.特に,古くからある大学病院では,膨大な数と量のカルテが存在し,それをどこに保存するかに悩まされる.岡山大学医学部は150周年記念事業を検討中であるが,キャンパス内の古いカルテ(ここでいう古い,とは少なくとも昭和40年代以前で戦前のものも含んでいる)の扱いが問題になっている.執行部で,どこに保存するのか,そもそも保存すべきかどうか,などを縷々議論しているのだが,その過程で,いくつか学んだことがある.1つは,カルテは個人情報そのものであり,現在使っているカルテではその点に最も配慮が必要なのだが,すでに故人になった方のカルテは個人情報保護法の対象にはならない(例外はある)こと.2つめは,医科系の者にとってのカルテの重要性は,その内容の医学的側面にあるのだが,古いカルテの保存を最も強く求めるのは,文科系の教官であり,彼らは古文書としての価値を大切にするので,とにかく「一括して」保存することを求める,という点.これらの事情と,学内のスペースとのせめぎ合いが続いており,果たしてどう決着をつけるべきか,悩ましい日々が続いている.
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