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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科40巻8号

2012年08月発行

文献概要

総説

脳卒中におけるシームレスな地域医療連携:医療・介護地域連携クリティカルパスの活用に向けて

著者: 藤本俊一郎1

所属機関: 1香川県厚生農業協同組合連合会

ページ範囲:P.669 - P.683

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Ⅰ.はじめに

 2008年度診療報酬改定53,54)で脳卒中に対する「地域連携診療計画管理料」と「地域連携診療計画退院時指導料」の算定が可能となり,その後も2009年度に介護報酬改定,2010年度に診療報酬改定55),2012年度に診療・介護報酬同時改定56-59)が施行された.現在,全国各地で脳卒中地域連携クリティカルパス(以下,パスと略す)が作成・運用されているが1-35,38-46,48,49,51),その多くは急性期病院から回復期リハビリテーション病棟/維持期施設を経て,在宅復帰までを対象とした医療連携にとどまっている.香川シームレスケア研究会では,脳卒中地域連携パスの運用結果からシームレスな医療介護連携の必要性を指摘し1,33-35),既存の地域連携パスを「医療・介護地域連携パス」に改定した.今回,2012年度診療・介護報酬改定に対応可能な「医療・介護地域連携パス」を提示するとともに,「嚥下・NST(nutrition support team)・PEG(percutaneous endoscopic gastrostomy)地域連携パス」と「歯科地域連携パス」併用の必要性についても報告する.

参考文献

1)出口貴行,藤本俊一郎,大平隆博,平尾寛子,塩田和代:脳卒中地域連携クリティカルパスからみた在宅復帰に影響する関連因子の検討.日本医療マネジメント学会雑誌12:216-220, 2012
2)藤本俊一郎:地域連携クリティカルパス 脳卒中・大腿骨頸部骨折・NST,メディカルレビュー社,東京,2006
3)藤本俊一郎,多田羅喜代美,大原昌樹:香川労災病院における脳卒中地域連携パス.pp215-237(橋本洋一郎:脳卒中クリニカルパス実例集 基幹病院編.メディカルレビュー社,東京,2006)
4)藤本俊一郎,多田羅喜代美,大原昌樹:シームレスケア研究会の設立と地域連携クリティカルパスの作成.日本医療マネジメント学会雑誌7:415-421, 2006
5)藤本俊一郎:脳卒中の地域連携ネットワークとパス.大津市医師会誌30:38-42, 2007
6)藤本俊一郎:地域連携クリティカルパス最前線─脳卒中地域連携クリティカルパスの作成・運用と課題─.MEDICAL QOL May 24-27, 2007
7)藤本俊一郎:脳卒中のクリニカルパスを作ってみよう! 参考にしたいパス実例集(1)香川県中讃・西讃地域─脳卒中地域連携パス─.臨床リハ16:424-430, 2007
8)藤本俊一郎:切れ目のない医療サービスと情報提供のための脳卒中地域連携パスの作成と運用.pp74-79(社団法人日本リハビリテーション医学会(監修),日本リハビリテーション医学会診療ガイドライン委員会,リハビリテーション連携パス策定委員会(編):脳卒中リハビリテーション連携パス─基本と実践のポイント─,第5章 連携パスの実践,4.連携パス実例集1(急性期),医学書院,東京,2007)
9)藤本俊一郎:脳卒中診療ネットワーク構築のコツ.動脈硬化予防6:74-83, 2007
10)藤本俊一郎,多田羅喜代美,大原昌樹:連携パス作成のための地域ネットワーク作りの実際.pp13-21(岡田晋吾:地域連携パス作成術・活用術.─診療ネットワーク作りをめざして─,医学書院,東京,2007)
11)藤本俊一郎:脳卒中における地域連携クリティカルパスの活用効果と課題.日本医療マネジメント学会雑誌8:414-419, 2007
12)藤本俊一郎:脳卒中地域連携クリティカルパス─香川方式─.治療90(増刊号):840-849(田城孝雄:治療増刊号 地域医療連携 実践ガイドブック,南山堂,東京,2008)
13)藤本俊一郎:脳卒中連携のポイント─香川シームレスケア研究会の活動から─.pp38-42(日本医療マネジメント学会:別冊 新医療連携.新・医療計画と連携~地域完結型医療の幕開け~,エルゼビア・ジャパン,東京,2008)
14)藤本俊一郎,渡邊 進:脳卒中地域連携クリティカルパス.p44-50(日本医療マネジメント学会:別冊 新医療連携.新・医療計画と連携~地域完結型医療の幕開け~,エルゼビア・ジャパン,東京,2008)
15)藤本俊一郎:地域ネットワークの構築と地域連携パス.地域リハビリテーション3:226-229, 2008
16)藤本俊一郎:脳卒中の地域連携クリティカルパス.pp17-33(宮崎久義:クリティカルパスの新たな展開Ⅳ.地域連携クリティカルパスの意義と今後の展開,ライフ・サイエンス,東京,2008)
17)藤本俊一郎:地域連携クリティカルパス.3.脳卒中.pp151-161(医療マネジメント学会:クリティカルパス最近の進歩2008.じほう,東京,2008)
18)藤本俊一郎,大原昌樹:脳卒中における地域連携クリティカルパスの新たな課題と対応.─急性期医療機関の立場から─.日本医療マネジメント学会雑誌9:404-408, 2008
19)藤本俊一郎:【改訂版】地域連携クリティカルパス 脳卒中・大腿骨近位部骨折・在宅・歯科在宅・NST.メディカルレビュー社,東京,2009
20)藤本俊一郎:1.急性期病院(地域連携クリティカルパス診療計画管理料・地域連携診療計画退院時指導料).pp13-19(藤本俊一郎:【改訂版】地域連携クリティカルパス 脳卒中・大腿骨近位部骨折・在宅・歯科在宅・NST.第1章 平成20年度の地域医療連携に関わる診療報酬制度改定,メディカルレビュー社,東京,2009)
21)藤本俊一郎:1.香川シームレス研究会における地域連携クリティカルパス作成の基本コンセプト.pp61-68(藤本俊一郎:【改訂版】地域連携クリティカルパス 脳卒中・大腿骨近位部骨折・在宅・歯科在宅・NST.第2章 地域連携クリティカルパス 3.香川シームレスケア研究会 (2)地域連携クリティカルパス,メディカルレビュー社,東京,2009)
22)藤本俊一郎,平井有美:2.脳卒中.pp68-87(藤本俊一郎:【改訂版】地域連携クリティカルパス 脳卒中・大腿骨近位部骨折・在宅・歯科在宅・NST.第2章 地域連携クリティカルパス 3.香川シームレスケア研究会 (2)地域連携クリティカルパス,メディカルレビュー社,東京,2009)
23)藤本俊一郎,小西久典,廣畑 衛,原 量宏:4.インターネットを用いた地域連携クリティカルパスの運用.pp143-148(藤本俊一郎:【改訂版】地域連携クリティカルパス 脳卒中・大腿骨近位部骨折・在宅・歯科在宅・NST.第4章 地域連携クリティカルパス使用マニュアル,メディカルレビュー社,東京,2009)
24)藤本俊一郎,大原昌樹:香川における地域連携クリティカルパスの現況とノウハウについて.MB Med Reha 102:31-42, 2009
25)藤本俊一郎:かがわシームレスケア研究会の取り組みと脳卒中地域連携クリティカルパスの実際.pp97-115(武藤正樹・田代孝雄・森山美知子・池田俊也:地域連携クリティカルパスと疾病ケアマネジメント,中央法規,東京,2009)
26)藤本俊一郎,大原昌樹:香川県における地域連携パス.日医雑誌7:1339-1342, 2009
27)藤本俊一郎:脳卒中地域連携パスの作成と運用.─運用における新たな課題と対応─.日本職業・災害医学会会誌57:217-222, 2009
28)藤本俊一郎,平松匡文,平下浩司,柚木正敏,合田雄二,吉野公博:脳卒中地域連携パス運用の実際.脳外速報19:1406-1413, 2009
29)藤本俊一郎:香川シームレスケア研究会における脳卒中地域連携パスの作成と運用.新医療No.426:122-125, 2010
30)藤本俊一郎:香川シームレスケア研究会の活動.臨牀看護36:159-167, 2010
31)藤本俊一郎:脳卒中地域連携クリティカルパスの現状と今後の方向性.─情報発信源としての急性期病院の立場から―.pp17-26(宮崎久義:クリティカルパスの新たな展開Ⅵ.地域医療と地域連携クリティカルパス,ライフ・サイエンス,東京,2010)
32)藤本俊一郎,出口貴行,大平隆博,塩田和代:急性期リハビリテーション病院での医療連携─医療・介護のシームレスな連携を目指した脳卒中地域連携クリティカルパスの作成と運用.臨床リハ20:630-639, 2011
33)藤本俊一郎,出口貴行,塩田和代,多田羅喜代美:脳卒中地域連携パス─医療介護のシームレスな連携を目指して─.地域連携入退院支援4:22-31, 2011
34)藤本俊一郎,松本健五:脳卒中の地域医療連携.Special interview.脳外速報22:4-13, 2012
35)藤本俊一郎:地域連携パスの作り方.Brain 2:161-172, 2012
36)合田雄二,藤本俊一郎,竹林智子:脳卒中地域連携クリティカルパスと栄養管理.Nutrition Support Journal 9:22-25, 2008
37)合田雄二,竹林智子,高畑知代:4.嚥下障害・NST.pp90-98(藤本俊一郎:【改訂版】地域連携クリティカルパス 脳卒中・大腿骨近位部骨折・在宅・歯科在宅・NST.第2章 地域連携クリティカルパス.3.香川シームレスケア研究会 (2)地域連携クリティカルパス,メディカルレビュー社,東京,2009)
38)平井有美,西本 愛,大平隆博,多田羅昭二,平下浩司,藤本俊一郎:脳卒中地域連携クリティカルパス作成への取り組み.日本医療マネジメント学会雑誌7:422-427, 2006
39)平井有美,多田羅喜代美,藤本俊一郎:地域を結ぶシームレスケア研究会の活動と地域連携パスの実際.看護展望32:64-69, 2007
40)平井有美:脳卒中地域連携パス運用におけるナースの役割について.臨牀看護36:168-173, 2010
41)平井有美,池内亜紀,高田有美,藤本俊一郎:地域医療連携の質向上にむけた「私の診療記録」の活用.日本医療マネジメント学会雑誌11:205-208, 2010
42)平田好文:脳卒中地域連携クリティカルパス─熊本方式─.治療90(増刊号):830-838(田城孝雄:治療増刊号 地域医療連携 実践ガイドブック,南山堂,東京,2008)
43)北海道地域連携クリティカルパス運営協議会(編),社団法人日本脳卒中協会北海道支部(監修):北海道地域連携クリティカルパス:脳卒中あんしん連携ノート,2011
44)井林雪郎,里宇明元,長谷川泰弘,藤本俊一郎:脳卒中とリハビリテーション(Round Table Discussion).脳と循環13:199-206, 2008
45)木村年秀,山下喜世弘:7.歯科のシームレスケアへのかかわり.pp104-110(藤本俊一郎:【改訂版】地域連携クリティカルパス 脳卒中・大腿骨近位部骨折・在宅・歯科在宅・NST.第2章 地域連携クリティカルパス 3.香川シームレスケア研究会 (2)地域連携クリティカルパス,メディカルレビュー社,東京,2009)
46)北浦道夫,藤本俊一郎:香川メディカルコントロール報告.脳卒中.香川県医師会誌62:40-41, 2010
47)Langhorne P, Stott DJ, Robertson L, MacDonald J, Jones L, McApline C, Dick F, Taylor GS, Murray G:Medical complications after stroke:a multicenter study. Stroke 31:1223-1229, 2000
48)長束一行:脳卒中ノート─豊能方式─.治療90(増刊号):850-857(田城孝雄:治療増刊号 地域医療連携 実践ガイドブック,南山堂,東京,2008)
49)大原昌樹,森 美津子:5.在宅.pp98-102(藤本俊一郎:【改訂版】地域連携クリティカルパス 脳卒中・大腿骨近位部骨折・在宅・歯科在宅・NST.第2章 地域連携クリティカルパス 3.香川シームレスケア研究会 (2)地域連携クリティカルパス,メディカルレビュー社,東京,2009)
50)奥田克爾,君塚隆太,阿部 修,加藤哲夫,石原和幸,西条みのり:口腔ケアによる誤嚥性肺炎予防.歯科学報105:51-67, 2005
51)多田羅喜代美,藤本俊一郎,畠山 修:香川シームレスケア研究会の設立と運営.pp51-59(藤本俊一郎:【改訂版】地域連携クリティカルパス 脳卒中・大腿骨近位部骨折・在宅・歯科在宅・NST.第2章 地域連携クリティカルパス 3.香川シームレスケア研究会,メディカルレビュー社,東京,2009)
52)米山武義,吉田光由,佐々木英忠,橋本賢二,三宅洋一郎,向井美恵,渡辺 誠,赤川安正:要介護高齢者に対する口腔衛生の誤嚥性肺炎予防効果に関する研究.日歯医学会誌20:58-68, 2001
53)平成20年3月5日付保医発035001号厚生労働省保険局医療課長,厚生労働省保険局歯科医療管理官通知「診療報酬の算定方法の制定等に伴う実施上の留意事項について」
54)平成20年3月5日付保医発035003号厚生労働省保険局医療課長,厚生労働省保険局歯科医療管理官通知「特掲診療科の施設基準等及びその届出に関する手続きの取り扱いについて」
55)平成22年度診療報酬改定説明会(平成22年3月5日)資料等について.平成22年度診療報酬改定の概要.厚生労働省保健局医療課
56)平成24年度診療報酬改定の概要.厚生労働省保健局医療課.2012年3月14日版
57)平成24年度介護報酬改定について(骨子).平成24年度介護報酬改定の概要.社保審─介護給付費分科会 第88回(H24.1.25)資料1-1
58)平成24年度介護報酬改定の概要.社保審─介護給付費分科会 第88回(H24.1.25)資料1-2
59)厚生労働省発老0125第1号 平成24年1月25日.諮問書(平成24年度介護報酬改定について)社保審─介護給付費分科会.社保審─介護給付費分科会 第88回(H24.1.25)資料1-3
60)平成24年度介護報酬改定のポイント.日本歯科医師会,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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