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症例
咽頭痛で発症した椎骨動脈解離の1例
著者: 濵田緒美1 緒方利安1 安部洋1 大川将和1 東登志夫1 松本順太郎1 高野浩一2 井上亨1
所属機関: 1福岡大学医学部脳神経外科 2福岡大学医学部放射線科
ページ範囲:P.1081 - P.1085
文献購入ページに移動椎骨動脈解離は脳梗塞,くも膜下出血で発症する以外に後頚部痛や頭痛を伴う場合が多い.2010年のSpontaneous Cervicocephalic Arterial Dissections Study Japan(SCADS-Japan)の研究班の調査によると,虚血性脳卒中が52%,出血性脳卒中が28%である一方,頭痛など脳卒中以外の症状で発症した患者も14%と多い9).近年では,画像診断の発達に伴い,頭痛の段階でみつかる椎骨動脈解離の症例も増加傾向にある5).しかしながら,脳血管解離による疼痛の発生機序は十分に解明されているとはいえない.頭蓋内の血管の痛覚についての研究では,テント上の血管の痛覚は主に三叉神経支配,後頭蓋窩の血管は上位頚神経(C1-2)や迷走神経,三叉神経支配といわれている3,5).今回,われわれは頭痛の後に咽頭の激痛で発症した両側椎骨動脈解離の症例を経験した.その疼痛の発症機序は特異的と考えられ,ここに報告する.
参考文献
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