icon fsr

文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科41巻12号

2013年12月発行

文献概要

連載 脊椎脊髄手術に必要な基本的知識

(4)頚椎後方手術(筋層構築的棘突起椎弓形成術)

著者: 川本俊樹1 金彪1

所属機関: 1獨協医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.1119 - P.1129

文献購入ページに移動
Ⅰ.はじめに

 頚椎後方手術(椎弓形成術)は脊椎・脊髄疾患に対して行う手術の,最も基本となるものである.椎弓形成術が本邦で開発されて以来,数々の手術法が発表され,多くの症例に施行されてきた.そのどれもが十分良好な成績を達成しており,今後も高齢化に伴う多椎間病変などの増加に伴い施行頻度はさらに増加していくものと考えられる.また,その効果とともに術式の安全性,内固定技術の発展,さらに硬膜内髄外腫瘍,髄内腫瘍に対する手術の際の利用など汎用性もあり,基本手技として会得しておく必要性の高い手術法である4)

 椎弓の開大方法については棘突起縦割(両開き)法11)と片側進入(片開き)法1)の椎弓形成術がありそのどちらも効果的ではあるが,ここでは頚椎筋骨格系の力学的相互作用を理解し頚椎後方組織再建の重要性を強調するため棘突起縦割(両開き)法(筋層構築的棘突起椎弓形成術8))について詳説する.

参考文献

1) Hirabayashi K, Watanabe K, Wakano K, Suzuki N, Satomi K, Ishii Y:Expansive open-door laminoplasty for cervical stenotic myelopathy. Spine(Phila Pa 1976)33:693-699, 1983
2) Hosono N, Yonenobu K, Ono K:Neck and shoulder pain after laminoplasty. A noticeable complication. Spine 21(Phila Pa 1976):1969-1973, 1996
3) 川本俊樹,金 彪:脊髄・脊椎疾患.脳神経外科 周術期管理のすべて 改訂第3版.メジカルビュー社,東京,2009, pp320-350
4) 川本俊樹:頚椎後方アプローチの概要.脊椎脊髄外科サージカル・テクニック.メジカルビュー社,東京,2012, pp84-95
5) 川本俊樹,金 彪,黒川 龍,糸岐一茂,新郷哲郎,山本慎司:頚椎変性疾患 後方手術における合併症とその対策.脊椎脊髄25:757-764, 2012
6) 金 彪:脊髄脊椎手術パンテール リトラクタシステムの開発と使用経験.脳外速報14:77-82, 2004
7) 金 彪,川本俊樹,朝来野佳三,高岩吉將:後方手術の合併症としての抵抗性頚部痛 症例とその発生機構の検討.脊椎脊髄17:792-798, 2004
8) Kim P, Murata H, Kurokawa R, Takaishi Y, Asakuno K, Kawamoto T:Myoarchitectonic spinolaminoplasty:efficacy in reconstituting the cervical musculature and preserving biomechanical function. J Neurosurg Spine 7:293-304, 2007
9) Kim P, Joujiki M, Suzuki M, Ueki K, Amano Y:Newly designed ergonomic surgical binocular telescope with angulated optic axis. Neurosurgery 63:ONS188-190, 2008
10) 金 彪,黒川 龍,川本俊樹,糸岐一茂,山本慎司,新郷哲郎:頚椎後方手術における合併症.脊椎脊髄22:1275-1281, 2009
11) 黒川高秀,津山直一,田中弘美,町田秀人,中村耕三,飯塚 正,星野雄一:頚椎症性脊髄症に対する棘突起縦割法脊柱管拡大術.臨整外19:483-490, 1984
12) 中間季雄,木村 敦,星野雄一:術後頚部痛を減らす工夫.脊椎脊髄17:799-802, 2004
13) 越智淳三(訳):解剖学アトラス.文光堂,東京,1981,pp38, 39, 73, 163
14) Ratliff JK, Cooper PR:Cervical laminoplasty:a critical review. J Neurosurg 98:230-238, 2003
15) 須田浩太,伊東 学,鐙 邦芳:後彎を伴う頚椎症性脊髄症 後方除圧効果の限界.脊椎脊髄22:650-653, 2009
16) 谷口 真:頚椎椎弓拡大形成術.NS Now脳神経外科医のための脊椎外科.メジカルビュー社,東京,2008, pp73-85
17) Zhang J, Tsuzuki N, Hirabayashi S, Saiki K, Fujita K:Surgical anatomy of the nerves and muscles in the posterior cervical spine:a guide for avoiding inadvertent nerve injuries during the posterior approach. Spine(Phila Pa 1976)28:1379-1384, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?