icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科41巻2号

2013年02月発行

雑誌目次

アジア脳神経外科コングレスに出席して―本学会の創立の経過と将来像

著者: 神野哲夫

ページ範囲:P.95 - P.96

 2012年9月2日より3日間,東西文化の接点であるトルコのイスタンブールで開催された第9回のアジア脳神経外科コングレス(ACNS)に出席した.参加者はアジア,中近東の主として若い脳神経外科医約400名と,Yaşargil教授,Samii教授らが特別参加された.アジアではかなり大きな学会であるが,日本の脳神経外科医の中には本会の設立と今日までの経過をよくご存知ない方が多いと考え,その創立の経過と将来像について触れたい.

 私事で恐縮だが,若い頃よりアジアの多くの国々を訪ね,現地の脳神経外科医,患者さん方に接する機会を得た.そこで見聞した社会・医療環境の実質的惨状は予想以上であり,長い間,西欧社会に支配されてきた痕は歴然たるものであった.当時,私は,脳神経外科関係の学会であるので,最新の診断機器,マイクロサージャリーなどをビデオに編集して示したものであった.アジアの脳神経外科医は驚かれたが,彼らの内心では「我と彼の国力の差」に絶望した方も多かったのではないかと,今思えば申し訳ないことをしたと後悔している.もっと,彼らの実情に合った講演をすべきであった.また一般に,若い脳神経外科医のための教育コースなどはほとんど皆無であった.そのような経過を経て,当時の私は若いなりに,このままでは何か違うのではないかと考え,端 和夫先生,太田富雄先生,加藤庸子先生,Iftikhar Ali Raja先生,B. Ramamurthi先生などと相談して,「アジア脳神経外科カンファレンス」を創立した.1993年のことである.最初はカンファレンス(conference)の名であったが,Ramamurthi教授の提唱でcongressすなわち,「Asian Congress of Neurological Surgeons(ACNS)」にすることに参加国全員の賛成で決定した.

総説

重症頭部外傷治療・管理のガイドライン:変遷と展望

著者: 島克司

ページ範囲:P.97 - P.104

Ⅰ.はじめに

 重症頭部外傷の治療と管理に関するガイドラインは,2000年前後,日米欧を中心に一斉に整備されてきた.端緒となったのは,米国の神経外傷財団(Brain Trauma Foundation:BTF)によるevidence-based guidelinesで,1995年に初版,2000年に第2版,2007年に第3版が公表され現在に至っている1-3).ヨーロッパでは,1997年に,ヨーロッパ脳損傷協会(European Brain Injury Consortium:EBIC)によりヨーロッパ全体のガイドラインとして発表された15).このガイドラインは,医療事情の異なるヨーロッパ各国の実情に合わせて,専門家のコンセンサスに基づいて作成された.日本のガイドラインは,日本脳神経外傷学会の重症頭部外傷治療・管理のガイドライン作成委員会によって作成され,欧米とはまったく異なる医療保険制度や施設の多様性などを考慮して,専門家のコンセンサスに基づいたガイドラインとして,2000年に初版,2006年に第2版が発表された11,12).第3版もすでに印刷中の段階で,近日中に発表される予定である13).筆者は,2003年に始まった第2版のガイドライン作成委員であり,2008年よりはガイドライン作成副委員長として,ガイドラインの改訂作業に関わってきた.

 本稿では,わが国の重症頭部外傷の治療と管理に関するガイドラインについて,第3版までの変遷と今後の展望について概説する.

研究

内頚動脈海綿静脈洞部巨大・大型動脈瘤の治療戦略

著者: 大瀧隼也 ,   三上毅 ,   飯星智史 ,   宮田圭 ,   野中雅 ,   寳金清博 ,   三國信啓

ページ範囲:P.107 - P.115

Ⅰ.はじめに

 内頚動脈海綿静脈洞部巨大・大型動脈瘤は,直達手術が困難であるため内頚動脈閉塞術が行われる3,4,7,10,26).その際,遠位部の局所的脳虚血を予防するために,血行再建術を行う場合がある.血行再建術の必要性については,普遍的もしくは選択的の2つの考え方があるが,後者では術前のバルーン閉塞試験(balloon occlusion test:BOT)の所見により決定されることが多い3,9,32).BOTは,主幹動脈の一時遮断や永久閉塞の可否を評価する術前試験であるが,方法は各施設によって異なるのが現状である.本試験自体の合併症や偽陰性の問題もあり15,18,19),試験結果に基づいた治療結果に関する分析は,一定の見解が得にくい.今回われわれは,自験例の海綿静脈洞部内頚動脈瘤における術前BOTの結果と治療結果に関して検討し,BOTと血行再建術の意義について文献的考察を加え報告する.

中枢神経原発悪性リンパ腫診断におけるFDG-PETの有用性と限界

著者: 河井信行 ,   三宅啓介 ,   岡田真樹 ,   山本由佳 ,   西山佳宏 ,   田宮隆

ページ範囲:P.117 - P.126

Ⅰ.はじめに

 中枢神経原発悪性リンパ腫(primary central nervous system lymphoma:PCNSL)の原発性脳腫瘍に占める割合は約3%と比較的稀であるが,近年増加傾向にある12).高齢者に好発することや臓器移植後やacquired immunodeficiency syndrome(AIDS)のような免疫不全状態での発生が知られており,発生率増加の一因と考えられている.

 治療に関しては,high-dose methotrexate(HD-MTX)とそれに続く全脳照射(whole brain radiotherapy:WBRT)の併用療法の有効性が報告され,生存期間中央値は30~40カ月と延長し,長期生存する症例も多数認められている16).PCNSLは臨床的に症状が出現してからの進行が速いことが特徴で,早期の診断と治療開始がさらなる生存期間の延長には必要である.PCNSLに特徴的な症状・神経所見はなく,magnetic resonance imaging(MRI)による画像診断が有用なことが多い1,3,11).しかし,非典型的な形態学的画像所見を呈するPCNSLも多数存在し4),診断が遅れて剖検ではじめてPCNSLと診断されることもしばしばある4)

 2-[18F]-fluoro-2-deoxy-D-glucose(FDG)を用いた陽電子断層撮影(positron emission tomography:PET)は,腫瘍の悪性度をブドウ糖代謝の面から評価することのできる分子イメージングである.一般的に腫瘍細胞においては,悪性度の高いものほど細胞密度が高く,またグルコース輸送体膜蛋白(glucose transporter:GLUT)が過剰発現し,細胞内のhexokinaze活性も亢進しており腫瘍へのFDG集積は増加する.PCNSLにおけるFDG-PETの役割は確立されたものではないが,近年の臨床研究においてその有用性が報告されており6,10,15,17),われわれもPCNSLが疑われる症例には全例にFDG-PET検査を行ってきた.その中で,典型的画像所見を呈する症例ではFDG-PETは画像診断として非常に有用であり6,15),鑑別診断や病理組織学的診断が行えない症例への応用も期待される一方で,非典型的画像所見を呈する症例ではその有用性に限界があることがわかってきた7).全国的なPET装置の普及に伴いPCNSLの診断にデリバリーによるFDGを用いたPET検査を行う機会が増加することが予想される.今回,われわれが経験した全症例をまとめることで,PCNSLの診断におけるFDG-PETの有用性と問題点について文献的考察を加えて報告する.

症例

意識障害,片麻痺にて発症した胸部大動脈解離の1例

著者: 雄山博文 ,   横山幸房 ,   野田智之 ,   玉木修治 ,   鬼頭晃 ,   大河秀行 ,   槇英樹 ,   横手淳 ,   小坂井基史 ,   和田健太郎 ,   柚原悟史

ページ範囲:P.127 - P.133

Ⅰ.はじめに

 胸部大動脈解離の代表的な症状が胸背部痛であることはよく知られており,その場合の診断は容易であるが,10~55%の症例では胸背部痛がないとされ,その場合の診断は容易ではない4).また,胸部大動脈解離では脳,脊髄,末梢神経由来などの神経症状が6~42%に出現するとされているが,そのうち意識障害で発症した場合は病歴が聴取できず,診断が困難である4,11,14)

 われわれはshock状態により意識障害を生じたもののMRIにて脳に異常を認めず,診断が困難であった胸部大動脈解離の1例を経験した.今後の診療の一助となり得ると考え,本症例を報告する.

子癇発作から非脳動脈瘤性くも膜下出血を発症したHELLP症候群の1例

著者: 吉金努 ,   宮嵜健史 ,   青木昭和 ,   神原瑞樹 ,   萩原伸哉 ,   宮﨑康二 ,   秋山恭彦

ページ範囲:P.135 - P.141

Ⅰ.はじめに

 周産期出血性脳卒中は4~20人/10万人と報告されている.くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage:SAH)もその1つであるが,多くは既存の脳動脈瘤や脳動静脈奇形(arteriovenous malformation:AVM)の破裂によって生じる7).なかでも円蓋部に限局するSAH(convexity SAH:cSAH)は非動脈瘤性のものが多く,静脈梗塞,reversible cerebral vasoconstriction syndrome(RCVS),posterior reversible encephalopathy syndrome(PRES),cerebral amyloid angiopathyなど原因はさまざまである.HELLP症候群は,溶血性貧血(Hemolytic anemia),肝逸脱酵素上昇(Elevated Liver enzyme),血小板低下(Low Platelet count)を呈する妊娠後期合併症である.妊娠高血圧腎症の中でも特殊な型と考えられ,高血圧や自己免疫学的機序によって惹起される血管内皮のびまん性障害が原因とされている4).稀に頭蓋内合併症を発生し,特に出血性脳卒中はしばしば致命的な転帰となることが報告されている6).今回われわれは,妊娠後期にHELLP症候群から子癇発作を発症し,cSAHを合併した1例を経験した.本症例では迅速な対応にて母子ともに良好な経過を辿ったものの,画像検査から子癇発作時にPRESを生じていたことも判明した.このためHELLP症候群による脳血管内皮細胞障害に加えて,子癇により自動調節能が麻痺した脳血管に高い灌流圧が加わりcSAHに至ったものと推察した.本症例の病態について,文献的考察を加えるとともに周産期脳卒中対応の留意点を報告する.

Vater乳頭部癌からの脳転移:症例報告

著者: 松岡剛 ,   鰐渕博 ,   鈴木咲樹子 ,   本田一穂 ,   岡田芳和

ページ範囲:P.143 - P.148

Ⅰ.はじめに

 Vater乳頭部癌は早期から黄疸などの症状が出やすく,比較的発見が早い腫瘍であるため予後は良好とされるが,転移を来すと著しく予後不良となる.

 Vater乳頭部癌の転移は一般的に腹腔内臓器に多く,脳へ単独で転移することは稀である12).さらに,Vater乳頭部印環細胞癌の脳転移は極めて稀である.今回われわれは,印環細胞癌を含むVater乳頭部癌の脳転移症例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.

報告記

第4回国際水頭症髄液疾患学会報告記(2012年10月19~22日)

著者: 石川正恒

ページ範囲:P.150 - P.151

 2012年10月19日午後7時からのwelcome partyを皮切りに10月22日まで,第4回の国際水頭症髄液疾患学会(International Society for Hydrocephalus and Cerebrospinal Fluid Disorders:ISHCSF)が京都市蹴上のWestin Miyako Hotelで開催された.従来,水頭症や髄液の研究は脳神経外科学会や小児脳神経外科学会といった枠組みの中で議論されてきたが,ISHCSFは医師のみならず,基礎研究者や臨床工学技士,看護師などの多領域で水頭症や髄液研究について興味をもつ人々の集まりで,まさに専門家集団の国際学会である.参加者は総勢360名近くで,過去最高の参加者数であった.演題数も240題を超え,これも過去最高であった.日本からの演題数は100題を超え,わが国の水頭症研究の成果を世界に発信できたことは素晴らしいことと考えている.とりわけ,日本の脳神経外科施設からの演題が多く,ご協力いただいたことを心から感謝している.

 さて,この国際学会でのメインテーマは髄液の産生・吸収においた.Cushingより百年以上にわたり,われわれは第3循環という学説を当たり前のように信じてきたが,果たして髄液は“循環”しているのか,そして,それ以前に髄液がどこでどれくらい産生され,どこでどれくらい吸収されているのか,という基本的な疑問を解決することなく,シャント手術をすればそれで終わりとしてきた感がある.今回の学会では,髄液の産生・吸収について,わが国の佐藤修東海大学名誉教授およびクロアチア・ザグレブ大学薬理学のMarijan Klarica教授にご講演をいただいた.今回の講演を機に,この根源的な問いに迫る研究が進むことを期待している.わが国の水頭症や頭蓋内圧研究の発展はAnthony Marmarou先生の貢献による所が大きい.今回,Marmarou先生への御礼も含めて,島克司防衛医科大学校名誉教授にMarmarou先生のご功績についてのご講演をいただいた.

連載 脳神経血管内治療医に必要な知識

(6)頭部に発生する硬膜動静脈瘻およびhigh flow動静脈瘻に対する塞栓術

著者: 徳永浩司 ,   杉生憲志 ,   伊達勲

ページ範囲:P.153 - P.162

Ⅰ.はじめに

 硬膜動静脈瘻(dural arteriovenous fistula:DAVF)は硬膜上のさまざまな部位に発生し,病変部の構造は症例ごとに異なっている.術前の血管造影の理解と病態の把握が重要であり,いかにしてシャント部を閉塞するか,また到達できない場合の次善の方法は何かなど,治療のデザインを立てるためには十分な知識,経験,判断力が要求される.治療が奏功した場合の満足度は患者のみならず術者にとっても大きいものであり,それゆえに本疾患に思い入れが強い脳血管内治療医は多い.本稿では頭部に発生するDAVFの分類および塞栓術の具体的な手技,さらにdirectなhigh flow AVFの治療について述べる.

合併症のシステマティック・レビュー─適切なInformed Consentのために

(6)髄膜腫手術・1―sphenoid ridge, parasellarの髄膜腫

著者: 堀口崇 ,   𠮷田一成

ページ範囲:P.163 - P.184

Ⅰ.はじめに

 脳神経外科手術合併症のシステマティック・レビューシリーズの第6回目は,蝶形骨縁(sphenoid ridge)および傍鞍部(parasellar)髄膜腫がテーマである.WHOの組織学的分類(2007)では髄膜腫の大部分がgrade Ⅰに分類され56),日本における1991~1996年の調査で5年生存率は93.7%とされている43).しかし良性腫瘍であるにもかかわらず,全摘出が得られなかった髄膜腫の再発率は5年で33%61),肉眼的全摘出が得られた症例の10年無増悪生存率が61%であったのに対し,非全摘例では37%と報告されており,必ずしも満足できる転帰は得られていない14)

 われわれは頭蓋底髄膜腫自験例281例を検討し,摘出率が再発率と有意に相関することから,初回手術における徹底切除の重要性を報告した72).しかし一方で,MRIが普及した結果,無症候性の良性腫瘍が発見される頻度が増し36),加えて定位放射線治療の発展に伴い,良性腫瘍の治療戦略は変化してきた.すなわち,摘出に伴う周術期合併症によるQOLの悪化は容認されない時代になっている47).われわれは,頭蓋底髄膜腫の手術リスクを検討し,腫瘍付着部のサイズ,動脈あるいは脳神経の巻き込み,脳幹への癒着,頭蓋底中央部の局在,の5項目が手術合併症の発生および摘出率低下に相関することを報告した2).術後の障害を回避するために,high risk群においては意図的に全摘出をせず,残存腫瘍に対する定位放射線治療を推奨する論文も増えている47)が,長期にわたる腫瘍制御を得るためには定位放射線治療に先立つ手術において徹底切除が行われていることが必要38)である.また,蝶形骨縁髄膜腫は有意に増大しやすく,「脳ドックガイドライン2008」においても,「蝶形骨縁内側型の髄膜腫は,視力障害発症後はその回復が困難であるため,予防的な摘出手術が勧められる」68)とあり,初回手術こそが全摘出できるチャンスである93)ことも,治療計画を立てるうえでは重要なコンセプトである.

 今回のテーマに限ったことではないが,脳腫瘍手術において合併症を出さずに徹底切除を行うためには,豊富な経験に裏づけられた技術と知識が必要である.Cadaver dissection courseやハンズオンセミナーなどで頭蓋底外科における技術面の訓練は受けられるものの,合併症に関する知識を得ることは個人的な経験のみでは難しい.本連載開始以来,序文で繰り返し述べられているように,本検討の目的はreferenceとして活用し得るデータの提供にある4,37,40,46,100).言うまでもなく,エキスパートが行った治療成績をそのまますべての術者に適応することはできない.蝶形骨縁,傍鞍部髄膜腫の手術は,腫瘍の進展方向によって異なるアプローチが選択され,頭蓋底外科の技術を駆使する必要もある.また,腫瘍のサイズや近接する構造との関係によっても手術難易度は大幅に異なる.加えて,頭蓋底髄膜腫の治療成績を報告する施設および術者は限定される傾向にある.したがって,これら個々の症例,施設,術者ごとに合併症を解析しても,一般的なreferenceにはなり得ない.過去に報告された合併症の内容とその頻度を把握することの意義は,頭蓋底髄膜腫の手術におけるinformed consentを行う際の一助になるとともに,敵を知り,己を知ることで合併症回避への第一歩となることにあると思われる.

 傍鞍部あるいは蝶形骨縁髄膜腫に対し,合併症を出さない徹底切除に挑んだ結果,髄膜腫の全摘率と再発率はどの程度になり,どのような合併症(手術関連死も含む)がどの程度生じているのか,腫瘍発生部位ごとに述べる.

--------------------

欧文目次

ページ範囲:P.93 - P.93

お知らせ

ページ範囲:P.126 - P.126

ご案内 第10回新都心神経内視鏡症例検討会

ページ範囲:P.148 - P.148

日  時 2013年4月20日(土)午後3時より

テ ー マ 内視鏡手術に関わるイメージの工夫

演題締め切り日 3月23日

幹  事 新潟大学脳研究所脳神経外科 西山健一

開 催 地 株式会社大塚製薬工場本社ビル9階(東京・神田)

お知らせ

ページ範囲:P.162 - P.162

ご案内 第6回脳血管手術研究会

ページ範囲:P.184 - P.184

テ ー マ 脳虚血手術~徹底討論~

日  時 2013年4月14日(日)9:00~16:30

会  場 名古屋キャッスルプラザホテル

投稿ならびに執筆規定

ページ範囲:P.186 - P.186

投稿および著作財産権譲渡承諾書

ページ範囲:P.187 - P.188

略語および度量衡単位について

ページ範囲:P.189 - P.189

次号予告

ページ範囲:P.191 - P.191

編集後記

著者: 若林俊彦

ページ範囲:P.192 - P.192

 本号の編集後記は,2013年の正月に執筆しています.読者の皆様には平素より本誌に対する心温まるご理解とご支援を賜り,誠にありがとうございます.ここに改めて感謝申し上げます.

 私が本誌の編集委員を拝命して,早くも5年の歳月が流れ,その間,脳神経外科に関連した様々な出来事がございました.まずは,一昨年4月1日の診療報酬改定により,脳神経外科の検査および手術手技の収益全体が大幅に増え,本邦における脳神経外科全体がこれを契機に活気づいてきた感があります.世間一般もめまぐるしい変化を遂げています.異常なほど暑い夏が続いた昨年でしたが,アジア周辺の国々にも何やら不穏な動きが見え隠れしています.尖閣諸島での中国との衝突事件,韓国大統領による竹島上陸から端を発した韓国との歴史的問題の表在化,千島列島へのロシア大統領の視察,北朝鮮のミサイル発射や韓国との不和など,本邦の平和や防衛とは何かを改めて考えさせられる1年でした.その一方で,日本からノーベル医学生理学賞受賞者が生まれ,科学面では人類への大きな貢献を成し遂げました.また,年末には,国政の大幅な改革と強い日本の再生を期待した政権交代が起こりました.今回の選挙結果を導いた熱い情熱が,決して一夜の夢物語に終わらないことを祈っています.

基本情報

Neurological Surgery 脳神経外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1251

印刷版ISSN 0301-2603

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?