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アジア脳神経外科コングレスに出席して―本学会の創立の経過と将来像
著者: 神野哲夫1
所属機関: 1ジャパン藤脳クリニック
ページ範囲:P.95 - P.96
文献購入ページに移動 2012年9月2日より3日間,東西文化の接点であるトルコのイスタンブールで開催された第9回のアジア脳神経外科コングレス(ACNS)に出席した.参加者はアジア,中近東の主として若い脳神経外科医約400名と,Yaşargil教授,Samii教授らが特別参加された.アジアではかなり大きな学会であるが,日本の脳神経外科医の中には本会の設立と今日までの経過をよくご存知ない方が多いと考え,その創立の経過と将来像について触れたい.
私事で恐縮だが,若い頃よりアジアの多くの国々を訪ね,現地の脳神経外科医,患者さん方に接する機会を得た.そこで見聞した社会・医療環境の実質的惨状は予想以上であり,長い間,西欧社会に支配されてきた痕は歴然たるものであった.当時,私は,脳神経外科関係の学会であるので,最新の診断機器,マイクロサージャリーなどをビデオに編集して示したものであった.アジアの脳神経外科医は驚かれたが,彼らの内心では「我と彼の国力の差」に絶望した方も多かったのではないかと,今思えば申し訳ないことをしたと後悔している.もっと,彼らの実情に合った講演をすべきであった.また一般に,若い脳神経外科医のための教育コースなどはほとんど皆無であった.そのような経過を経て,当時の私は若いなりに,このままでは何か違うのではないかと考え,端 和夫先生,太田富雄先生,加藤庸子先生,Iftikhar Ali Raja先生,B. Ramamurthi先生などと相談して,「アジア脳神経外科カンファレンス」を創立した.1993年のことである.最初はカンファレンス(conference)の名であったが,Ramamurthi教授の提唱でcongressすなわち,「Asian Congress of Neurological Surgeons(ACNS)」にすることに参加国全員の賛成で決定した.
私事で恐縮だが,若い頃よりアジアの多くの国々を訪ね,現地の脳神経外科医,患者さん方に接する機会を得た.そこで見聞した社会・医療環境の実質的惨状は予想以上であり,長い間,西欧社会に支配されてきた痕は歴然たるものであった.当時,私は,脳神経外科関係の学会であるので,最新の診断機器,マイクロサージャリーなどをビデオに編集して示したものであった.アジアの脳神経外科医は驚かれたが,彼らの内心では「我と彼の国力の差」に絶望した方も多かったのではないかと,今思えば申し訳ないことをしたと後悔している.もっと,彼らの実情に合った講演をすべきであった.また一般に,若い脳神経外科医のための教育コースなどはほとんど皆無であった.そのような経過を経て,当時の私は若いなりに,このままでは何か違うのではないかと考え,端 和夫先生,太田富雄先生,加藤庸子先生,Iftikhar Ali Raja先生,B. Ramamurthi先生などと相談して,「アジア脳神経外科カンファレンス」を創立した.1993年のことである.最初はカンファレンス(conference)の名であったが,Ramamurthi教授の提唱でcongressすなわち,「Asian Congress of Neurological Surgeons(ACNS)」にすることに参加国全員の賛成で決定した.
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