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メディカルスタッフと脳神経外科
著者: 周郷延雄1
所属機関: 1東邦大学医学部医学科脳神経外科学講座
ページ範囲:P.471 - P.472
文献購入ページに移動いうまでもなく病院は,医師のほか,さまざまな専門技術者が集まって社会貢献を果たす施設であり,医療技術や設備の充実に加えてそのチームワークのよさが業務の遂行能力に強く影響を及ぼす.当初,英語圏では,医師・看護師以外の医療従事者を,パラメディカルスタッフ(paramedical staff)と総称し,国内でもその名称を用いていた歴史がある.その後,医療の高度化・複雑化に伴い,以前は医師のみが行っていた業務が細分化・分業化され,専門性の高いスタッフの協力が不可欠となった.そのため,接頭辞の“para-”は「補足する」「従属する」という意味であり,医療従事者間の主従関係を示唆することから,昭和後期には「協同」を意味する接頭辞の“co-”を用いた「コ・メディカル」(co-medical)との和製英語が発案された.さらに,2012年1月に日本癌治療学会は,「コ・メディカル」の使用をやめ,「薬剤師」「看護師」「検査技師」など,正式な個別名称を積極的に使用するよう提言した.「コ・メディカル」では,職種の範囲が不明で,未だ上下関係を暗示すること,喜劇(comedy)の形容詞(comedical)と誤解する可能性を挙げている.現代においては,すべての医療従事者は対等な立場であることを前提としたチーム医療の考え方が浸透してきており,医師・看護師を含めたすべての医療従事者をまとめて「メディカルスタッフ」と称する傾向にある.
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