icon fsr

文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科41巻9号

2013年09月発行

文献概要

連載 教訓的症例に学ぶシリーズ

血管構築の術前把握が困難であった未破裂末梢性中大脳動脈大型脳動脈瘤の直達手術に際しバイパス術の併用が有用であった1例

著者: 黒木亮太12 伊野波諭2 佐山徹郎3 西村博行2

所属機関: 1九州大学大学院医学研究院脳神経外科 2九州厚生年金病院脳神経外科 3九州労災病院脳神経外科

ページ範囲:P.797 - P.802

文献購入ページに移動
Ⅰ.経験症例

1.症例

 66歳女性,右ベル麻痺の精査を契機に頭部MRIで未破裂左中大脳動脈瘤を指摘され,当科に紹介された.高血圧と高脂血症に対し内服治療中であり,くも膜下出血や未破裂脳動脈瘤の家族歴はなかった.意識は清明で,神経学的所見に異常を認めなかった.血液・生化学的所見に異常所見はなかった.頭部CTで左シルビウス裂内に側頭葉に埋没する石灰化を伴う腫瘤を認めた(Fig.1A).頭部MRIでは腫瘤の内部中央は,T1強調画像で等信号(Fig.1B),T2強調画像(Fig.1C)とFLAIR画像(Fig.1D)では高信号を呈し,血栓化は認めなかった.脳血管撮影では,左内頚動脈撮影にて左M2下方に動脈相(Fig.2A,D)ではほとんど描出されないが静脈相(Fig.2C,F)で濃染される15mmの大型動脈瘤を認めた.動脈瘤から流出するinferior trunkも動脈瘤と同様に静脈相で最も強く描出されたが,動脈瘤neckや母動脈は同定困難であった.

参考文献

1) 波多野武人,宮本 享,高橋 淳,飯原弘二:治療困難な未破裂巨大脳動脈瘤に対する挑戦:前方循環巨大脳動脈瘤に対するflow alteration treatment.脳外誌20:506-512, 2011
2) 井上智弘,國井尚人,熊切 敦,大谷亮平,田村 晃,齋藤 勇,堤 一生:未破裂脳動脈瘤クリッピングの安全性向上のためのバイパス併用の意義.脳卒中の外科37:275-282, 2009
3) Nussbaum ES, Madison MT, Goddard JK, Lassig JP, Nussbaum LA:Peripheral intracranial aneurysms:management challenges in 60 consecutive cases. J Neurosurg 110:7-13, 2009
4) Olsen WL, Brant-Zawadzki M, Hodes J, Norman D, Newton TH:Giant intracranial aneurysms:MR imaging. Radiology 163:431-435, 1987
5) Rosner SS, Rhoton AL Jr, Ono M, Barry M:Microsurgical anatomy of the anterior perforating arteries. J Neurosurg 61:468-485, 1984
6) UCAS Japan Investigators:The natural course of unruptured cerebral aneurysms in a Japanese cohort. N Engl J Med 26:2474-2482, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?