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雑誌目次

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科42巻3号

2014年03月発行

雑誌目次

米国における小児脳神経外科の現状

著者: 富田忠則

ページ範囲:P.191 - P.193

 1974年に渡米して以来,ChicagoのNorthwestern大学で脳神経外科のレジデントおよび教官として40年を過ごしてきたが,あっという間に時間が経っていったように思う.日本では,1970年代初期に東京の聖路加国際病院および神戸大学病院において,それぞれ2年間臨床に携わったが,まだその頃は研修中の身であったため,小生が関与してきた米国の医療制度と比較することは少し難しいところがあるが,これまでの経験から,米国での脳神経外科の医学教育と医療制度について書いてみたい.また,小生が1981年以来Lurie Children's Hospital of Chicago(以前のChildren's Memorial Hospital)の小児脳神経外科医としてやって来た経験について顧みたいと思う.

総説

神経集中治療における頭蓋内圧モニターの有用性,revisit

著者: 末廣栄一 ,   鈴木倫保

ページ範囲:P.195 - P.204

Ⅰ.はじめに

 重症疾患における集中治療では,心電図や観血的連続血圧測定,経皮的動脈血酸素飽和度など各種モニタリングを行っている.重症であればあるほど,病態は変化に富み,その変化に適宜対応して治療を行う必要がある.さて,神経集中治療では,どのように頭蓋内環境をモニタリングしているのであろうか? 神経集中治療の目的は,一次性脳損傷後に起こる脳血流や脳代謝の異常をできるだけ抑制し,二次性脳損傷を防ぎ患者の予後改善に努めることである.そのため,神経集中治療における脳・神経モニタリングは,脳血流や脳代謝の異常を迅速に検出し,的確な対応を導き出さねばならない.重症頭部外傷治療・管理のガイドライン30)では,脳・神経モニタリングとして電気生理学的モニタリング(脳波,誘発電位など)や,頭蓋内圧,脳血流モニタリング(laser Doppler flowmetry,経頭蓋超音波ドップラーなど),頚静脈球酸素飽和度などを挙げている.脳神経外科領域においては,脳梗塞や脳出血,頭部外傷などさまざまな病態に対して治療を行っているが,すべての病態で共通している治療目的は脳循環を維持することである.脳循環を把握するためにさまざまなモニタリングが考案されているが,その中の1つとして頭蓋内圧モニターが挙げられる.これは,頭蓋内圧と全身血圧を用いて脳灌流圧を算出し,脳循環を間接的にモニタリングする手法であるが,日本における頭蓋内圧モニターの施行率は低い.米国での重症頭部外傷における頭蓋内圧モニターの施行率が78%(2005年時点)であるのに対して3,16),日本頭部外傷データバンク(プロジェクト2009)からの報告では,日本の重症頭部外傷における頭蓋内圧モニターの施行率は31.9%にすぎなかった12).日本での施行率の低さの原因としては,マンパワーの不足やコストパフォーマンスの悪さが指摘されている37).さらには,頭蓋内圧モニターの活用による有効性を示すエビデンスの不足も,日本において頭蓋内圧モニターが普及しない1つの要因ではないかと思われる37)

 本稿では,頭蓋内圧の病態生理を解説した上で,実際の頭蓋内圧の測定法や活用法を紹介する.最後に頭蓋内圧モニターに関するエビデンスを解説し,神経集中治療における頭蓋内圧モニターの意義について再考する.

研究

脳室内および近傍腫瘍に対する神経内視鏡手術―生検術と水頭症治療における意義と今後の課題

著者: 黒崎邦和 ,   林央周 ,   浜田秀雄 ,   永井正一 ,   遠藤俊郎 ,   黒田敏

ページ範囲:P.205 - P.211

Ⅰ.はじめに

 脳室内・脳室近傍腫瘍に対する神経内視鏡手術は,腫瘍生検術のほか合併する水頭症に対する神経内視鏡的第三脳室開窓術(endoscopic third ventriculostomy:ETV)や透明中隔開窓術(septostomy),囊胞性腫瘍に対する囊胞開放術など多岐にわたる2,10).さらに,近年では神経内視鏡手術の普及や手術器具の発展に伴い,その手術方法も徐々に変遷している.

 今回,われわれは,側脳室~第三脳室内および近傍の腫瘍に対して神経内視鏡を用いて実施した腫瘍生検術の結果を検証するとともに,その課題についても検討したので報告する.

当院における頭蓋内膿瘍の治療成績の検討

著者: 矢内啓 ,   大宅宗一 ,   藤澤直顕 ,   土屋掌 ,   印東雅大 ,   中村巧 ,   松居徹

ページ範囲:P.213 - P.219

Ⅰ.はじめに

 頭蓋内感染性疾患は,画像診断の進歩あるいは抗生剤の開発などにより1970年代以前より格段に治療成績が改善した9).さらに2000年代初頭にはMRI拡散強調画像(DWI)による頭蓋内膿瘍の診断の有効性が確立した4,5).しかし未だ先進国においても頭蓋内膿瘍は頭蓋内占拠病変の2%を占めるとされ8),死亡率は10~20%といわれている6).起炎菌同定前の適切な抗生剤投与法などに関する理解が進んでいる一方で,合併症などの状況が症例ごとに多様であり画一的な治療法は存在しないことが,治療が難しい原因と思われる.具体的には,①外科的排膿は行うべきか,行うのであれば開頭術がよいか穿頭術がよいか,②膿瘍被膜外摘出が必要な状況とはどういった状態か,③起炎菌同定後の抗生剤治療の期間,④経口抗生剤投与の意義,などに関して未だに不明な点が多く,標準的治療が確立されていない.

 そこでわれわれは,現代的な画像診断および抗生剤治療のもとでの頭蓋内膿瘍の治療成績を検討し,今後さらなる治療成績改善につなげることを目的として,当科における脳膿瘍の治療成績の後方視的解析を行った.

症例

囊胞開窓術後に発汗,めまい,しびれが速やかに改善した小脳延髄槽くも膜囊胞の1例

著者: 松岡剛 ,   久保田有一 ,   石井暁 ,   浅井彰久 ,   谷藤誠司 ,   岡田芳和

ページ範囲:P.221 - P.226

Ⅰ.はじめに

 くも膜囊胞は,一般的に成人では無症状の場合が多く,経過観察することが多いが,局所神経圧迫症状や頭蓋内圧亢進症状を示す場合は手術適応となり得る.しかし,小脳延髄槽のくも膜囊胞は特徴的な症状がみられず,また報告が少ない1,2,9,11)ため,その手術適応の判断が困難である.今回,われわれは小脳延髄槽のくも膜囊胞に対して開窓術を行い,速やかに症状が改善した症例を経験したので報告する.

バルーンカテーテルを用いた間欠的空気拡張法による嚥下訓練が奏功したWallenberg症候群に伴う嚥下障害の1例

著者: 宮本淳一 ,   新島京 ,   久保陽介 ,   宮崎博子 ,   井口福一郎

ページ範囲:P.227 - P.231

Ⅰ.はじめに

 嚥下機能は複雑な神経機構によって統合されており,嚥下障害を来す原因や障害の程度が多彩であるため,その対処には苦慮することが多い.今回われわれは,Wallenberg症候群に伴う嚥下障害において,リハビリテーションセンターおよび耳鼻咽喉科との集学的評価によりバルーンカテーテルを用いた間欠的空気拡張法(intermittent air stretching method with balloon catheter:IASM)による嚥下訓練の適応と判断された1症例を経験した.実際に当該手技を実施したところ嚥下障害が迅速に改善したので,本例を報告するとともに,IASMについて文献的考察を加えたうえでその適応にも触れる.

頭蓋内primary leptomeningeal lymphomaの1例

著者: 金恭平 ,   小野恭裕 ,   久松芳夫 ,   蔵本智士 ,   勝間田篤 ,   吉田秀行 ,   河内正光 ,   中村聡子

ページ範囲:P.233 - P.239

Ⅰ.はじめに

 中枢神経系原発の悪性リンパ腫は稀であるが,高齢者を主体として増加傾向にある腫瘍の1つである.全国脳腫瘍統計調査によれば,全原発性脳腫瘍の約3.1%を占め2),治療もmethotrexate(MTX)を中心とする化学療法と放射線治療により確立されてきている.その中で,極めて稀な発育様式として脳表の髄膜を主体とし,脳表に沿って拡がるタイプのリンパ腫も報告され,primary leptomeningeal lymphoma(PLML),leptomeningeal lymphomatosisまたはleptomeningeal marginal zone lymphomaなどと呼ばれるものがその範疇に入るものと考えられる1,3-5,8-14,17-20).報告例が少なく,統一した呼称や分類は確立していないが,現在のところ最も多く使われているPLMLと以下は略する.今回われわれはけいれん発作で発症したPLMLと考えられた1例を経験したため,文献的考察を加え報告する.

報告記

第12回国際脳血管攣縮学会(Vasospasm 2013)報告記--(2013年7月10~12日)

著者: 鈴木秀謙

ページ範囲:P.240 - P.241

 2013年7月10~12日にスイスのルツェルンで開催された第12回国際脳血管攣縮学会(Vasospasm 2013)に参加しました.会長はアーラウ州立病院のJavier Fandino教授でした.この学会は1973年に「International Conference on Cerebral Vasospasm」として設立され,ここ数年の欧米を中心としたくも膜下出血(SAH)後の遅発性脳障害の発生機序に関する新たな展開を受け,前回大会より正式名称は「International Conference on Neurovascular Events after Subarachnoid Hemorrhage」に改称されました.最近の臨床研究で,脳血管攣縮の克服だけではSAHの予後改善に限界があることが繰り返し報告され,遅発性神経症状の原因として脳血管攣縮とは別に,early brain injury(EBI)という新たな病態が提唱されたり,微小循環障害やcortical spreading depolarization(CSD)の関与が報告されるなど,脳側の要因が重要視されるようになってきました.新たなターゲットが提示され,結果的に本学会は再活性化された印象があります.

 開催地ルツェルンは,スイス中央部,通称ルツェルン湖の北西端で,湖より流れ出すロイス川沿いに位置する標高436mにある人口約8万人の古都です.美しい湖となだらかな山々に囲まれ,カペル橋などの古い屋根付きの木橋,見事な壁画の建物や凝った彫像のついた水飲み場,かつての城壁など,中世の町並が美しく,周辺には世界一の急斜面を登る山岳鉄道やピラトゥス山,リギ山があり,さらにはウィリアム・テルの伝説に代表されるスイス建国の史跡があり,奥に連なるアルプスの山々との対比はまるで絵画のようでした.学会会場はルツェルン駅のすぐ隣で湖畔にたたずむ,フランスの世界的建築家ジャン・ヌーヴェルによって設計された近代的な複合文化センター「ルツェルン・カルチャー・コングレスセンター(KKL)」でした.ぐっと突き出た屋根,湖から水を引いたように見える池,小窓や回廊の部分など,船をモチーフにしたデザインは美しいだけでなく,世界的音楽祭が開催されるほどの音響効果を誇り,目の前に広がる湖や山々を借景にしたホワイエの雰囲気も最高で,素晴らしい環境での学会でした.学会中日には会長主催でルツェルン湖のディナークルージングを楽しみました.

連載 教訓的症例に学ぶシリーズ

陸上競技用槍による穿通性頭部外傷の1例

著者: 西廣真吾 ,   竹内亮 ,   相原寛 ,   有澤正 ,   柏谷信博

ページ範囲:P.243 - P.248

Ⅰ.経験症例

1.症例

 現病歴 15歳,女性.陸上グラウンドで練習中に約50m離れた所から投げられた槍(陸上競技用)が左側頭部に刺さり受傷した.受傷直後は呼びかけにわずかに応じる状態であり,救急隊接触時の意識レベルは,Japan Coma Scale(JCS)でⅡ-30R,槍は同型の物と比較して約3cm刺さったままの状態であると推測された.救急車へ搬入するため現場で槍を切断し,頭部に刺さった槍はそのまま固定され当院へ直ちに救急搬送された.

 来院時現症 意識レベルはJCSでⅢ-100Rと高度意識障害を認めた.瞳孔不同はなかったが,全身性痙攣を認めた.外表初見では槍は左側頭部に刺さっていた(Fig.1A)が,その刺入距離は不明であった.現場で槍はある程度切断されたが,CT検査を施行できないため救急外来でさらに切断した.来院時には救急隊接触時よりも槍は抜けていると思われたが,そのまま固定してCT検査を施行した.

合併症のシステマティック・レビュー―適切なInformed Consentのために

(12)腰椎の除圧固定術

著者: 高橋敏行 ,   花北順哉 ,   渡邊水樹 ,   河岡大悟 ,   武部軌良 ,   北原孝宏

ページ範囲:P.249 - P.267

Ⅰ.はじめに

 腰椎の除圧固定術は,腰椎変性疾患をはじめ,外傷や腫瘍性病変,炎症性疾患などの多様な病変に対する外科治療適応症例に行われている.対象疾患により手術難度や治療成績,合併症発生頻度は大きく異なるため,これらをすべて網羅した合併症統計や分析は,データの分散が大きく解析の焦点が散漫となり理にかなわない.したがって,本稿では,最も頻度の高い腰椎変性疾患に対する腰椎除圧固定術に対象を絞り,手術合併症のシステマティック・レビューを行った.

 脊柱の加齢変形は,特に荷重負荷の大きい腰椎において年齢に相応し顕著となり,成人の腰椎MRIにおける横断的評価では40歳で約半数に椎間板変性所見を来し61),65歳以上の約20%で腰部脊柱管狭窄所見を認めている9).高齢化社会の加速に伴い日常診療で遭遇する機会は多く,保存的治療に抵抗性の症候性病変に対しては外科治療の介入が必要となり,症候学と画像診断との整合性を重視しつつ,病態やリスクを勘案し術式を選択しているのが現状である.機能的外科の役割が多く,いずれの手術法を選択するにしても,手術の安全対策とともに,手術合併症に対する十分な事前説明と有事の際の適切な対応が要求される.これまで合併症に関連する要因として,手術年齢,対象疾患,既存の全身疾患,肥満の有無,麻酔のリスク,骨粗鬆症の併存,手術侵襲度(出血量増多や多椎間手術など),固定術の有無,術者の経験,再手術例などが一般的に報告されている10,20,34,37,41,57,92,96,117)

 しかしながら,対象となる症例や病態,手術適応や術式の相違ばかりではなく,報告により合併症の定義は異なることが多く,その頻度は術後観察期間やスタディーデザインにも影響を受ける86).また,臨床上の有害事象ばかりでなく,画像上の問題点である放射線学的有害事象もときとして合併症の範疇とされる.さらに,近代脊髄脊椎外科における低侵襲手技や手術支援機器の開発,instrumentationの発展により従来と比較し手術が多様化しており,例えば“腰椎後方除圧”や“後方進入腰椎椎体間固定”といった術式においても統一した手技で行われているわけではなく,同一条件での比較が困難である.脊髄脊椎外科の歴史は古く,脳神経外科と整形外科の両科にわたり,かつ疾患罹患率も高いためこれまでの膨大な報告から,適切なデータを抽出し解釈するには慎重を要し,理想的な合併症分類や解析には問題も残る.しかしながら,各疾患や術式に応じた合併症頻度や傾向について論じた体系的レビューは少なく貴重であり,収集解析したデータが標準的な外科治療を行うにあたり,患者への適切なinformed consentの一助になれば幸いである.本稿では腰椎変性疾患の中でも代表的な腰椎椎間板ヘルニア,腰部脊柱管狭窄症,腰椎変性すべり症に対象を絞り,先天性側彎,腰椎後側彎,分離すべりなど特殊な病態は除外した.これらの手術において起こり得る周術期合併症を列挙し,その頻度や傾向を呈示し考察する.日本脊髄外科学会では,2007年より脊髄外科指導医により脊髄脊椎手術における合併症登録が施行され,学会機関誌「脊髄外科」に毎号その集計結果を掲載している.本邦の脳神経外科医における手術合併症発生頻度の参考値として,こちらもご参照いただきたい.

脊椎脊髄手術に必要な基本的知識

(7)脊椎脊髄腫瘍:脊椎腫瘍・脊髄髄外腫瘍

著者: 髙見俊宏 ,   山縣徹 ,   内藤堅太郎 ,   大畑建治

ページ範囲:P.269 - P.285

Ⅰ.はじめに

 脊椎・脊髄腫瘍は一般的に「骨腫瘍としての脊椎腫瘍」(原発性,転移性,類似疾患)と「神経腫瘍としての脊髄腫瘍」(硬膜外,髄外,髄内)に分けて論じられる.本稿では,脊椎腫瘍全般と脊髄髄外腫瘍について記載する.脊椎腫瘍における詳細な画像診断については,放射線診断学の教科書を参考にしていただき27),本稿では疾患の基本事項と治療戦略について記載する.

 脊椎骨に発生する骨腫瘍は脊椎腫瘍と総称され,原発性(良性,悪性),続発性(転移性)さらに類似疾患に分類される.頻度的には転移性脊椎腫瘍が半数以上を占め(約50%),次いで原発性悪性腫瘍(約26%),原発性良性腫瘍(約17%),類似疾患と続く23).本稿では脊椎腫瘍総論,原発性脊椎腫瘍,転移性脊椎腫瘍および類似疾患の各論に分けて記載する.

 神経腫瘍としての脊髄腫瘍は,その局在によって硬膜外腫瘍,硬膜内髄外,髄内腫瘍に分類される.硬膜外腫瘍は脊椎腫瘍と重複する部分が多分にあり,骨腫瘍としての側面を有する.硬膜内髄外・髄内腫瘍の頻度については,従来から年間10万人あたり数人程度と推定されてきたが,近年の画像診断の向上により新規発生率あるいは有病率は確実に上昇している.硬膜内髄外腫瘍においては,神経鞘腫と髄膜腫の良性腫瘍が代表的である.本邦での正確な発生率あるいは有病率は不明だが,自験例ではおおむね神経鞘腫:髄膜腫=3.5:1の割合である.本稿では神経鞘腫と髄膜腫を中心に,合併症回避の観点から手術戦略を記載する.

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欧文目次

ページ範囲:P.189 - P.189

ご案内 第21回日本脊椎・脊髄神経手術手技学会学術集会

ページ範囲:P.231 - P.231

会 期 2014年9月26日(金)・27日(土)

会 長 浅見尚規(三和会池田病院脊椎脊髄外科)

会 場 宮崎観光ホテル

お知らせ

ページ範囲:P.239 - P.239

ご案内 第12回新都心神経内視鏡症例検討会

ページ範囲:P.248 - P.248

開催日 2014年5月10日(土)午後3時より

テーマ 第三脳室底開窓術再考

演題締め切り 4月18日

幹 事 国立成育医療研究センター脳神経外科 師田信人

開催地 株式会社大塚製薬工場本社ビル9階(東京・神田)

お知らせ

ページ範囲:P.267 - P.267

投稿ならびに執筆規定

ページ範囲:P.288 - P.288

投稿および著作財産権譲渡承諾書

ページ範囲:P.289 - P.290

略語および度量衡単位について

ページ範囲:P.291 - P.291

次号予告

ページ範囲:P.293 - P.293

編集後記

著者: 若林俊彦

ページ範囲:P.294 - P.294

 ソチ冬季オリンピックでのいくつかの日本人の活躍の中で,特に葛西紀明選手のラージヒル銀メダル受賞決定の際,他の若手日本人選手3名が声を揃えて,「素晴らしい先輩と一緒にいられて幸せ.この先輩を目標に自分も頑張りたい」とのコメントを述べていたのが印象的であった.脳神経外科の世界でも,将来,世界をリードする若手育成のために,ベテランの素晴らしい経験や技術が本誌に掲載され,指南役として若手への技と知恵の伝承に貢献することを切に願っている.

 さて,今月号の内容も,われわれが日常診療で配慮しなくてはならない重要な情報が満載である.まず,「扉」にはシカゴのNorthwestern University小児脳神経外科部長の富田忠則先生から「米国における小児脳神経外科の現状」についてご寄稿いただいた.「総説」では,ここ数十年間新たな治療の進展がみられていない頭部外傷救急患者のブレイクスルーを目指して頭蓋内圧モニターの再考が,山口大学の末廣栄一先生により検討されている.特に,各種脳圧変化をいかに予見し,予防処置を迅速に行うべきかが,わかりやすく解説されている.また,「研究」では,最近その手術手技の進歩や技術革新により適応疾患が拡大されつつある神経内視鏡を使用した脳室内およびその近傍の腫瘍に対するアプローチの注意点やその後の管理についての知見を,富山大学の黒崎邦和先生が要領よくまとめている.12回目となる,連載「合併症のシステマティック・レビュー」では,腰椎の除圧固定術について,高橋敏行先生におまとめいただいた.膨大な数の文献レビューに基づく非常に貴重な報告である.また,脊椎脊髄外科のなかでも,難度の高い脊椎腫瘍および脊髄髄外腫瘍手術について,より手術を安全に行うための基本的知識と手法が髙見俊宏先生から報告されている.さらに,愛知医科大学の高安正和先生の発案で始まった「教訓的症例に学ぶシリーズ」では,スポーツ現場で現実に起こったトラブルの実例が報告されている.これこそ,現場の医師がどのように対応するかによって,その後の機能予後に大きく関与する疾患の代表例であろう.西廣真吾先生が書かれているこのような症例に遭遇したときに,どのように対応すべきなのか.若手脳神経外科医が学ばなくてはならない技と知恵の伝承が今回も満載である.

基本情報

Neurological Surgery 脳神経外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1251

印刷版ISSN 0301-2603

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