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連載 教訓的症例に学ぶシリーズ
遺残性原始三叉動脈に両側内頚動脈病変を伴った1例
著者: 平田浩二1 小松洋治12 木村泰1 松村明3
所属機関: 1日立製作所日立総合病院脳神経外科 2筑波大学附属病院日立社会連携教育研究センター 3筑波大学医学医療系脳神経外科
ページ範囲:P.575 - P.580
文献購入ページに移動現病歴 71歳,男性.既往歴に高血圧と冠動脈バイパス術がある.右不全麻痺,失語を認め当院に救急搬送となり,頭部MRIで左前頭弁蓋部に急性期脳梗塞を認めた.MRAで左内頚動脈(左ICA)閉塞を認めたが,発症時間が不明であり保存的入院加療となった.来院時,vital signに異常なく,神経学的所見ではJapan Coma Scale Ⅰ-2,Glasgow Coma Scale 4-4-6,運動性失語あり,構音障害を認めた.右片麻痺はManual Muscle Test(MMT)4/Vであり,起立歩行は困難であった.National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)8であった.
画像検査所見 MRIで左前頭弁蓋部に急性期脳梗塞を認め,後頭蓋窩や後頭葉の後方循環系には異常所見を認めず,DWI-ASPECTS 10(Fig.1A)であった.MRAでは左ICAが総頚動脈(CCA)分岐直後から途絶しており,頭蓋内の左ICA,左中大脳動脈(左MCA)の描出は認めなかった.しかし,左遺残性原始三叉動脈(persistent primitive trigeminal artery:PPTA)から左ICAの先端がわずかに描出されていた(Fig.1B).
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