icon fsr

文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科43巻2号

2015年02月発行

文献概要

症例

慢性硬膜下血腫術後1年を経過して発症した感染性硬膜下血腫の1例

著者: 長尾考晃1 宮崎親男2 安藤俊平2 羽賀大輔2 黒木貴夫2 周郷延雄1 長尾建樹2

所属機関: 1東邦大学医学部医学科脳神経外科学講座(大森) 2東邦大学医学部医学科脳神経外科学講座(佐倉)

ページ範囲:P.153 - P.157

文献購入ページに移動
Ⅰ.はじめに
 慢性硬膜下血腫は脳神経外科臨床で遭遇する機会の多い疾患であるが,慢性硬膜下血腫の被膜に感染を来す感染性硬膜下血腫は稀である1,4,11,12).感染性硬膜下血腫は,遠隔の病巣からの血行性感染が特徴であり,硬膜下膿瘍における副鼻腔などからの直達感染や,慢性硬膜下血腫の術後感染とは明らかに異なる1,4,8,10,11)
 今回われわれは,慢性硬膜下血腫に対して穿頭ドレナージ術を施行し,その約1年後に尿路感染から感染性硬膜下血腫を発症した稀な1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

参考文献

1) 秋 達樹,村川孝次,竹中勝信,小谷嘉則:再発する慢性硬膜下血腫に続発した硬膜下膿瘍と考えられる1例.高山赤十字病院紀要28:44-48,2004
2) Aoki N, Sakai T, Oikawa A, Takizawa T, Shishido T:Infected subdural effusion associated with resolving subdural hematoma. Neurol Med Chir(Tokyo)37:637-639, 1997
3) Boles JM, Vallee B, Lejeune B, Le Cam B, Brousse A, Garre M, Chastel C:Salmonella-infected subdural haematoma. J Infect 7:67-71, 1983
4) Casson IR, Patel P, Blair D, Bergtraum M:Subdural empyema;caused by infection of preexisting subdural hematoma. N Y State J Med 81:389-391, 1981
5) 藤岡正導,松角康彦,倉津純一,賀来素之:慢性硬膜下血腫被膜形成にみる好酸球浸潤の意義:特にestrogenとの関連について.Neurol Med Chir(Tokyo)23:145-151, 1983
6) 本田 優,田中敬生,田中 聡,中山禎司,金子満雄,小澤享史:慢性硬膜下血腫術後に生じたinfected subdural hematomaの1例.脳と神経54:703-706, 2002
7) 石井則宏,平野一宏,毛利 豊,今村和弘,鎌田昌樹,渡辺明良,鈴木康夫,石井鐐二:Campylobacter fetusによるinfected subdural hematomaの1例.No Shinkei Geka 29:265-269, 2001
8) 韓 正訓,金 澤源,宮市功典,竹下浩士,松尾吉郎,重本達弘,吉村高尚,鍛治有登,月岡一馬,鵜飼 卓,西川 節,山中一浩:慢性硬膜下血腫に生じたサルモネラ硬膜下膿瘍の1例.No Shinkei Geka 26:903-907, 1998
9) Kawamoto S, Nagata K, Mochizuki Y, Hara T, Abe T, Sashida J:Subdural empyema caused by hematogenous dissemination from an abscess in thigh to a preexisting chronic subdural hematoma--case report. Neurol Med Chir(Tokyo)38, 743-745, 1998
10) 小林紀方,石川達哉,武藤達士,河合秀哉,引地堅太郎,師井淳太,鈴木明文,安井信之:穿頭術後に発症し開頭術を要した感染性硬膜下血腫の1例.脳外誌18:464-469, 2009
11) 国井紀彦,阿部琢巳:慢性硬膜下血腫と鑑別が困難であった硬膜下膿瘍の1例.脳外誌18:312-318, 2009
12) 大塚俊宏,加藤直樹,梶原一輝,田中俊英,沢内 聡,沼本ロバート知彦,村上成之,阿部俊昭:感染性硬膜下血腫が疑われた1例.No Shinkei Geka 35:59-63, 2007
13) 高橋義男,三上純一,上田幹也,伊藤和則,佐藤宏之,松岡高博,武田 聡,大川原修二,大宮信行:発生から消褪までの血腫被膜所見と内容液所見からみた慢性硬膜下血腫の成因の臨床的研究.Neurol Med Chir(Tokyo)25:998-1009, 1985
14) Vetrovec GW, Warner JF:Infected subdural hematoma:three case reports involving gram-negative organisms. Am J Med Sci 269:113-115, 1975
15) 山田哲久,名取良弘,由比文顕:腸内細菌による慢性硬膜下血腫内膿瘍の二症例.日神救急会誌23:47-53, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら