Neurological Surgery 脳神経外科43巻8号

2015年08月発行

テクニカル・ノート

外側後頭下アプローチにおける硬膜一次閉鎖の工夫—フィブリン糊コーティングによる硬膜の保湿

著者： 清水曉¹ 望月崇弘¹ 大澤成之¹ 関口朋子¹ 隈部俊宏²

所属機関： ¹横浜市立脳卒中・神経脊椎センター脳神経外科 ²北里大学医学部脳神経外科

ページ範囲：P.709 - P.712

Ⅰ．はじめに
　外側後頭下アプローチでは，閉頭時にしばしば硬膜面積が不足し一次閉鎖が困難となるため，自家組織や人工硬膜による補塡を要する．これは同部の硬膜が薄く，空気への曝露や顕微鏡の照明により乾燥・収縮しやすいためであり，綿片による被覆や頻回の洗浄を行っても回避は困難である．
　この硬膜の乾燥・収縮を防ぎ，縫合による簡便な一次閉鎖を可能とする，硬膜へのフィブリン糊コーティングを考案・試行したので報告する．

参考文献

1) de Vries J, Menovsky T, Grotenhuis JA, van Overbeeke JJ：Protective coating of cranial nerves with fibrin glue（Tissucol）during cranial base surgery：technical note. Neurosurgery 43：1242-1246, 1998

2) de Vries J, Menovsky T, van Gulik S, Wesseling P：Histological effects of fibrin glue on nervous tissue：a safety study in rats. Surg Neurol 57：415-422, 2002