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50・50(フィフティ・フィフティ)
著者: 上山博康1
所属機関: 1禎心会病院脳疾患研究所
ページ範囲:P.355 - P.357
文献購入ページに移動 さだまさしさんの「無縁坂」という歌に,「運がいいとか悪いとか…」という歌詞があります.不幸な転帰をとる患者さんたちを診ていると,「そういうことって確かにある」と感じることがあります.最近私は,運と実力って,半々ではないかと思うようになりました.本人の努力や実力で達成できることは,全体の50%程度で,残りの50%は自分以外の要素・要因で決まってしまうのではないかと思うのです.代表例として,王選手や長嶋選手のデビュー時の話が有名です.30打席以上ヒットが打てない状況でも,王や長嶋の才能を見抜いていた三原監督や水原監督は,彼らを打席に送り続けたのです.バッター・ボックスに入ったら,打てるかどうかは打者の責任です.しかし,打席に送り出すのは監督です.手術でも同様だと思うのです.手術をさせてもらえるかどうかは,教授や部長の胸先三寸です.常日頃から,手術ビデオを編集したり,バイパスの練習をするなど,自分のできる範囲での研鑽をいくら積んでも,手術をさせてもらえなければ,発揮する場所もなく意欲もなくなってしまいます.その外的要因は“運”と言えると思います.確かに人には相性もあって,すべての人間と良好な関係を保つことは容易ではありませんが….
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