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症例
ITB療法において術中カテーテル造影が有用であった2例
著者: 高宮宗一朗1 笹森徹1 濱内祝嗣1 関俊隆1 加納祟裕2 矢部一郎2 佐々木秀直2 寳金清博1
所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科・医学部脳神経外科 2北海道大学大学院医学研究科・医学部神経内科
ページ範囲:P.53 - P.58
文献購入ページに移動バクロフェン髄注(intrathecal baclofen:ITB)療法は,gamma-aminobutyric acid(GABA)-B受容体アゴニストであるバクロフェンを髄腔内に持続投与し,痙縮を改善させる治療法である.ITB療法では,薬液を充塡したプログラム式輸液ポンプを通常,腹部皮下もしくは腹直筋筋膜下へ留置し,脊髄くも膜下腔へ留置した脊髄側カテーテルとコネクターおよびポンプ側カテーテルで接続することにより,脊髄周囲への持続的な薬剤投与を可能とする.
本邦では,ITBポンプ植込み術を実施する医師に,eラーニングおよびハンズオン講習の受講が義務づけられている.その甲斐もあり,本邦でのITBポンプ植込み患者における合併症の発生率は,諸外国からの報告と比較し,低いことが確認された7).ITBポンプ植込み後に生じる合併症は,ポンプまたはカテーテルに関連するものに大別することができるが,その発生率は後者で高いことが知られている4,7,8).
今回,ITBポンプ植込み術の際に,カテーテル断端から良好な髄液流出を認めたものの,カテーテル先端部が硬膜下腔へ留置されていた2症例を経験した.これらの症例では,術中カテーテル造影を行うことで,脊髄側カテーテルを確実にくも膜下腔へ留置することが可能であったため,その有用性について報告する.
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