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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科45巻12号

2017年12月発行

文献概要

症例

破裂右中大脳動脈遠位部(M2)解離性動脈瘤の1例—症例報告および文献的考察

著者: 福島浩1 髙木友博1 吉野慎一郎1 平川勝之1 井上亨2

所属機関: 1福岡市民病院脳神経外科 2福岡大学医学部脳神経外科

ページ範囲:P.1093 - P.1099

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Ⅰ.はじめに
 本邦において頭蓋内の解離性動脈瘤は,非出血例,出血例ともに椎骨脳底動脈系に発生する頻度が高く(87.4%),内頚動脈系は少ない(12.6%)3).発症様式は,脳卒中データバンク2015によると,椎骨脳底動脈系,内頚動脈系で非出血例が多く,それぞれ71.5%,72.4%であった4).頭蓋内に発生する解離性末梢性動脈瘤は,通常,頭部外傷,血管炎,感染性心内膜炎に関係した細菌感染などにより発生することが多い.今回われわれは,非外傷性で,特に誘因なく発症した破裂中大脳動脈遠位部解離性動脈瘤(M2 inferior trunk)の症例を経験した.症例を提示し,中大脳動脈遠位部解離性動脈瘤の臨床的特徴と治療戦略について考察する.

参考文献

1) Friedman AH, Drake CG:Subarachnoid hemorrhage from intracranial dissecting aneurysm. J Neurosurg 60:325-334, 1984
2) 松岡秀樹:脳動脈解離の現状,②本邦の実態(アンケート調査,後ろ向き登録研究から).循環器病研究委託費18公-5(SCADS-Japan),脳血管解離の病態と治療法の開発(主任研究者:峰松一夫),大阪,2009, pp8-16
3) Mizutani T:Natural course of intracranial arterial dissections. J Neurosurg 114:1037-1044, 2011
4) 野田公一,元田敦子,同道頼子:動脈解離による脳梗塞,くも膜下出血の病態・治療・予後.小林祥泰(編):脳卒中データバンク2015.中山書店,東京,2015,pp46-47
5) 山浦 晶,吉本高志,橋本信夫,小野純一:非外傷性頭蓋内解離性動脈病変の全国調査(第1報).脳卒中の外科26:79-86, 1998
6) Yonas H, Agamanolis D, Takaoka Y, White RJ:Dissecting intracranial aneurysms. Surg Neurol 8:407-415, 1977

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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