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症例
味覚障害で発症した小脳血管芽腫の1例
著者: 中城博子1 河島雅到1 吉岡史隆1 中原由紀子1 高瀬幸徳1 緒方敦之1 下川尚子1 増岡淳1 阿部竜也1 松島俊夫2
所属機関: 1佐賀大学医学部脳神経外科 2福岡山王病院脳神経機能センター
ページ範囲:P.219 - P.224
文献購入ページに移動味覚は五感の1つであり,その中には甘味,苦味,塩味,酸味,うま味の5つの要素がある.味覚低下・消失,異常味覚などの味覚障害の原因には,末梢性および中枢性のものがある.末梢性味覚障害の原因として,偏った食生活による亜鉛不足,薬の副作用,口腔内乾燥,糖尿病・肝障害・腎障害などの全身性疾患の合併,放射線治療などが挙げられる.中枢性味覚障害は,味覚伝導路の障害で生じる.脱髄性疾患5),橋出血2),橋梗塞4),視床梗塞4)などで報告があるが,脳腫瘍による中枢性味覚障害は稀である.
今回われわれは,69歳男性で,味覚障害を発症し,外科手術による腫瘍摘出後に味覚障害が改善した小脳血管芽腫の1例を経験したので,文献的考察を踏まえて報告する.
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