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編集後記 フリーアクセス
著者: 𠮷田一成
所属機関:
ページ範囲:P.474 - P.474
文献購入ページに移動「扉」では園田順彦教授が,織田信長が49歳で亡くなったことに触れている.論語には,「四十にして惑わず,五十にして天命を知る」とある.社会のリーダーとなる人が50歳前後に多いことは,昔も今もこれからも変わらないと思う.私は,その年齢をはるかに過ぎてしまった.脳神経外科医を目指したことに惑いはなく,天職だとも思っている.しかし,わが身を振り返ってみると,30年以上,脳神経外科医としての研鑽を積んできたが,専門領域ですら脳神経外科医として完成しているとは言い難く,不得意領域も多々あるのが現実である.少年老い易く,学成り難しである.最近,「病院探検隊」という病院の客観的な評価を行っている方々から,私どもの病院では,「患者目線」での診療が行われていないとの厳しい指摘を受けた.患者は,脳神経外科医であれば,脳神経外科のことはすべてわかっていて,適切な治療を行っているものと信じているのではないかと思う.一人として完成された脳神経外科医はいないと思うが,われわれは常に患者の信頼に応えるべく,精進しなければならない.脳という神の領域は,未知の部分が多い.そして,冒頭で述べたように,脳神経外科という学問は,幅が広く,奥が深い.それが脳神経外科の魅力でもある.
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