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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科45巻7号

2017年07月発行

文献概要

読者からの手紙

「ガンマナイフ照射11年後に出血を来した脳動静脈奇形の1例—免疫染色による再開通現象の検討—」の論文(44(12):1045-1051,2016)について—脳動静脈奇形に対するガンマナイフ治療後の囊胞形成機序

著者: 周藤高1 黒田敏2 浜田さおり2

所属機関: 1横浜労災病院脳神経外科 2富山大学医学部脳神経外科

ページ範囲:P.642 - P.643

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 貴誌に掲載されました浜田さおり先生らの症例報告「ガンマナイフ照射11年後に出血を来した脳動静脈奇形の1例—免疫染色による再開通現象の検討—」1)を興味深く拝読しました.私は約30例の同様の合併症への手術経験から,その発生機序に関して報告してきました3,4).浜田先生らがFig.3において示した囊胞に接する造影効果を呈する病変は本病態の本質ではありますがnidusの一部ではなく,遅発性合併症として脳実質内に生じた内皮損傷を伴う拡張毛細血管の集簇であり,術中に赤い結節性病変として確認できます3,4).浜田先生らの例は,ガンマナイフ照射後に生じた内部に出血を伴う遅発性囊胞形成として捉えるべきものです.Fig.4に示される血管は微細でMRI上の結節性増強効果と一致するとは考えにくく,血管撮影でnidusや導出静脈が描出されないことからも再開通が病態の主体とも考えにくく,再開通と囊胞形成の関連も不明です.定位照射後のAVM再開通における血管内皮前駆細胞(endothelial progenitor cells:EPCs)関与の可能性は否定できませんが,再開通と囊胞形成は分けて論ずべきと考えます.本例における囊胞形成や囊胞内出血は,機能不全を伴った血管内皮からの蛋白漏出や出血がその本態で,AVMに特異的な合併症ではなく,実際に転移性脳腫瘍や聴神経腫瘍でも同様の報告があります2,5)

参考文献

1) 浜田さおり,柏崎大奈,加茂徹大,富田隆浩,秋岡直樹,桑山直也,黒田 敏:ガンマナイフ照射11年後に出血を来した脳動静脈奇形の1例—免疫染色による再開通現象の検討—.No Shinkei Geka 44:1045-1051, 2016
2) Ishikawa E, Yamamoto M, Saito A, Kujiraoka Y, Iijima T, Akutsu H, Matsumura A:Delayed cyst formation after gamma knife radiosurgery for brain metastases. Neurosurgery 65:689-694, 2009
3) Shuto T, Ohtake M, Matsunaga S:Proposed mechanism for cyst formation and enlargement following Gamma Knife Surgery for arteriovenous malformations. J Neurosurg 117 Suppl:135-143, 2012
4) Shuto T, Yagishita S, Matsunaga S:Pathological characteristics of cyst formation following gamma knife surgery for arteriovenous malformation. Acta Neurochir(Wien)157:293-298, 2015
5) Shuto T, Matsunaga S:Two cases of cystic enlargement of vestibular schwannoma as a late complication following gamma knife surgery. J Clin Neurosci 33:239-241, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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