icon fsr

文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科45巻8号

2017年08月発行

文献概要

脳と人工知能

著者: 鈴木一郎1

所属機関: 1日本赤十字社医療センター脳神経外科

ページ範囲:P.665 - P.666

文献購入ページに移動
 今から50年前の1967年12月2日,それは日曜の昼下がり,南アフリカ・ケープタウンの病院に飲酒運転の車にひかれた25歳の女性が運ばれてきた.脳の損傷が激しく,数時間後に担当医は「救命困難」と判断したが,彼女の心臓は動き続けていた.翌3日,「脳死」と診断され,彼女の心臓は53歳の男性に提供されることになる.彼女の名はDenise Darvall,世界で最初の脳死下での臓器提供者である.ただ,彼女自身はその事実を知る由もない.
 それから50年経った現在,世界では年間に4,500〜5,000例の心臓移植が行われている.日本では1997年に「臓器移植法」が施行されたが,第1例目の脳死臓器提供が行われたのは2年後の1999年である.その後,本人の生前の同意を必須にしていたこともあり,臓器提供は年間7〜8例程度にとどまった.このため2010年に法改正が行われ,本人の意思が不明な場合は,家族の承諾でも臓器提供が可能になった.これ以降,脳死臓器提供件数は年間50例程度に増えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?