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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科45巻8号

2017年08月発行

文献概要

研究

多房性慢性硬膜下血腫に対する硬性内視鏡下血腫除去術の有効性の検討

著者: 石川敏仁1 遠藤勝洋1 遠藤雄司1 佐藤直樹1 太田守1

所属機関: 1枡記念病院脳神経外科

ページ範囲:P.667 - P.675

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Ⅰ.緒  言
 慢性硬膜下血腫は,臨床現場において最も頻繁に遭遇する頭蓋内疾患である.近年,この疾患の高齢者の割合が年々増加しており,手術の際には,高齢者が抱える全身性合併症が問題になってきている.慢性硬膜下血腫の初期治療としては穿頭血腫ドレナージ術が一般的であり,良好な治療成績が報告されている.しかし,再発率は10〜20%と比較的高率であり8),穿頭血腫ドレナージ術に対して難治性を示す症例も散見される1,3,7,9,10,12).過去の報告によると,上記手術に対して難治性を示す症例には,大開頭術など,さまざまな手術が施行されている4,5,14).今回われわれは,CT所見から多房性慢性硬膜下血腫と診断し,穿頭血腫ドレナージ術のみでは治療困難と判断した症例に対して,硬性内視鏡を使用した血腫除去術を施行して,良好な経過を得た.その有用性について文献的考察を加え検討したので報告する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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