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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科45巻8号

2017年08月発行

文献概要

症例

口腔経由で頭蓋内に箸が刺入した小児の1例

著者: 藤原一枝1 平岡史大1 中村安伸1 村尾昌彦1 花川一郎1 井手隆文1

所属機関: 1東京都立墨東病院脳神経外科

ページ範囲:P.685 - P.690

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Ⅰ.はじめに
 低年齢の小児が転倒して,手に持っていた歯ブラシ,玩具,箸,鉛筆などによって穿通性外傷を起こしやすいことはよく知られている.外傷部位により,歯科・口腔外科,耳鼻科,眼科,小児科を受診することが多い1)
 箸による眼窩や鼻,頬,頭蓋骨経由の頭蓋内への穿通の報告例は,食文化からアジア地域に散見されるものであり2,4,5,9),その奇異な外表所見から報告例は多い.しかし,口腔内から頭蓋内への穿通性外傷の報告はごく稀であり,その画像診断や治療過程も周知されていない.なかでも,既に箸を抜去した状態で来院した例で,頭蓋内病変を予見し,対処することは困難である.今回われわれは,口腔経由で頭蓋内に箸が刺入した小児の1例を経験したので,報告する.

参考文献

1) 桑澤隆補,扇内博子,扇内洋介,岡本俊宏,山崎 卓,扇内秀樹:小児救急患者の臨床統計的検討.小児口外14:7-11, 2004
2) 村瀬 悟,大江直行,野倉宏晃,三輪嘉明,大熊晟夫:穿通性脳損傷4例の検討.岐阜病年報15:43-49, 1994
3) Nishida Y, Myouse H, Takano T, Koizumi Y, Kitamura K, Miyazaki Y, Yamanaka T:Analysis of penetrating injuries caused by toothbrushes using drop tests and finite element analysis. Proc. of the 3rd International Digital Human Modeling Symposium, 2014
4) Park SH, Cho KH, Shin YS, Kim SH, Ahn YH, Cho KG, Yoon SH:Penetrating craniofacial injuries in children with wooden and metal chopsticks. Pediatr Neurosurg 42:138-146, 2006
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8) 東京高判平20.11.20判タ1304.304, 2008 D1-Law.com第一法規法情報総合データベース(https://www.d1-law.com/),判例ID:28155844.(2016年11月18日閲覧)
9) 冨田年郎,三輪哲郎:小児頭蓋穿通創の3症例.小児の脳神経3:229-234, 1978
10) 堤 晴彦:杏林大学割り箸事件—被告人側の医師証人を経験して感じた刑事裁判の問題点.判例時報2301:7-12, 2016
11) Wang HF, Li WC, Xu N, Fu SL:Transoral penetrating craniocerebral injury by a bamboo chopstick in a child. J Clin Neurosci 20:746-748, 2013
12) 吉川朋宏,渋谷恭之,梅田正博:硬口蓋から下垂体部にまで達した木箸による穿通性外傷の1例:日口外誌44:897-899, 1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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