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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科46巻10号

2018年10月発行

文献概要

書評

—日本MISt研究会:監 星野雅洋,佐藤公治,齋藤貴徳,石井 賢:編—MISt手技における側方経路椎体間固定術(LIF)入門—OLIF・XLIF®を中心に

著者: 高安正和1

所属機関: 1愛知医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.875 - P.875

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●完成されたLIFの入門書
 本書は側方経路椎体間固定術(lateral interbody fusion:LIF)の手術書である.LIFでは体幹の側方から小皮切のもとに低侵襲に椎体・椎間板へアプローチすることができる.しかも,脊柱変形に対する強い矯正力を持ち,靱帯性整復(ligamentotaxis)により脊柱管や椎間孔の間接除圧が可能であるなど,優れた特徴を有する手術手技である.LIFが日本に導入されたのは,わずか5年前の2013年のことであるが,整形外科系脊椎脊髄外科医の間では,当初から強い関心が持たれ,急速に普及しつつある.しかし,2016年にLIF施行後の重大な合併症が報告されたことを契機に,施行にあたっての教育,ライセンスの制度が設定された.一方,脊柱変形を扱うことが少ない脳神経外科系脊椎脊髄外科医にとっては,胸腰椎に対する側方アプローチはもともと馴染みが薄い.LIFという新しい手術手技に対し,どのように向き合うかの判断に迷っている方も多いと思われる.本書は「入門」とタイトルにはあるが,その内容をみると,LIFの概念・意義の解説に始まり,安全な手術手技に必要な詳細な外科解剖,手術適応,標準的な手術手技と特殊例への応用,トラブルシューティングと安全性への取り組み,さらに将来展望に至るまで,LIFに関するすべての論点がカバーされており,とても入門書とはいえない豊富な内容を含んでいる.執筆者はLIFの日本導入時から本術式にかかわり,精通しているエキスパートの先生方である.本書にはフルカラーで分かりやすい写真やイラストなどが豊富に使用されており,内容の理解に大いに役立つ.LIFの日本導入からわずか5年間で,ここまで完成された書物が本邦から出版されたことに敬意を表したい.
 脊椎脊髄外科を扱う機会のある脳神経外科医にお勧めの一冊である.特にLIFに関して,すでに始めたがさらに手技を極めたい方,日頃から疑問をお持ちの方,関心はあるが今ひとつ理解できない方など,本書は必ずお役立ていただけると確信している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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