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癌の見逃し
著者: 堤一生1
所属機関: 1公立昭和病院
ページ範囲:P.957 - P.958
文献購入ページに移動 脳神経外科の診療とともに病院の医療安全を担当して7年ほど経つが,「癌の見逃し」は古くて新しい問題の1つである.「癌もしくは癌疑い」は,病理診断もしくは放射線診断の結果であるが,見逃しが問題となるのは後日進行癌となった時,以前のカルテに「癌もしくは癌疑い」のレポートがあり,それが見逃されていた場合である.主治医がレポートを読んでいなかったことが最多の理由であるが,なかには患者が受診せず検査結果が宙に浮いた場合や,担当医が交代して主治医のカルテ記載が継承されなかった場合などが報告されている.
病理の結果に関しては,陽性所見である「癌もしくは癌疑い」例にしぼって,病理診断レポートを担当医がチェックしたかどうかを電子カルテ上でチェックし,担当医のチェックがなかった症例を医療安全室がフォローアップする仕組みを作ってみた.月に10件前後であったが,後日ほとんどに適切な対応がとられていた.今までに2件,見逃しにつながり得る事例があり,主治医に感謝された.2例とも外来患者で,生検後の外来受診時には病理の結果がまだ出ておらず,次回の受診を指示していたが,患者が受診していないケースであった.医療側のみの責任とは言えないが,見逃しを防止できた例である.
病理の結果に関しては,陽性所見である「癌もしくは癌疑い」例にしぼって,病理診断レポートを担当医がチェックしたかどうかを電子カルテ上でチェックし,担当医のチェックがなかった症例を医療安全室がフォローアップする仕組みを作ってみた.月に10件前後であったが,後日ほとんどに適切な対応がとられていた.今までに2件,見逃しにつながり得る事例があり,主治医に感謝された.2例とも外来患者で,生検後の外来受診時には病理の結果がまだ出ておらず,次回の受診を指示していたが,患者が受診していないケースであった.医療側のみの責任とは言えないが,見逃しを防止できた例である.
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