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海外留学記
USMLE体験記—裏技と落とし穴
著者: 江夏怜1
所属機関: 1札幌医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.1121 - P.1125
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USMLEとはUnited States Medical Licensing Examinationの略称であり,米国の医師国家試験のことです.この試験を主催するのは,医事審議会連合(Federation of State Medical Boards:FSMB)と国立医療試験審議会(National Board of Medical Examiners:NBME)という2つの組織であり,Step1,Step2 CK・CS,Step3の3つのステップ,計4つの試験で構成されています.Step1は基礎医学,Step2は臨床医学に関する試験であり,Step2 CK(clinical knowledge)は臨床医学の知識問題,Step2 CS(clinical skills)は問診,診察,診断,患者説明,カルテ記載などの臨床技能試験,Step3はコンピューターシミュレーションなどを含む,総合的な医療知識と実践に関する試験といった内容です.外国人が臨床研修をするために必要なtraining licenseを取得するには,このStep2まで合格して,Educational Commission for Foreign Medical Graduates(ECFMG)という,外国医学部出身者が米国内で医療を行うための資格を認可する機関よりECFMG certificateを取得する必要があります.これは言ってしまえば,研修をするための仮免許のようなものです.米国の医師免許は州ごとに発行され,その州の永続医師免許を取得するにはStep3に合格することが必要になります.通常の臨床研修をするのならば,Step2まで合格すれば十分ですが,その後も医師として米国で働くか,2-year ruleが適用されるJ-1 visaでなく,H-1B visaで研修する場合は,Step3まで合格している必要があります.自分の目的に応じて,どのStepまで必要かが決まるわけです.
ちなみに米国で臨床研修をするには,レジデントに応募する方法と臨床フェローに応募する方法の大きく2通りがあります.脳神経外科のレジデントは7年間で脳神経外科領域全般についての研修を行い,フェローは1〜2年かけて,subspecialityの研修を行いますが,重要なことは,レジデンシープログラムを修了すると米国の脳神経外科専門医の受験資格が得られるのに対して,フェローシップを修了しても受験資格は得られないということです.つまり,レジデントはプログラム修了後も米国で脳神経外科医として働くことが前提となっているため,ポジションの数が厳しく制限されており,競争率が高く,USMLEもかなりの高得点を取らなければなりませんが,フェローは研修後に帰国することが前提となっているため,レジデントほどハードルが高くありません.
私がこの試験に挑戦しようと思ったのは,米国クリーブランドクリニックのてんかんセンターに研究フェローとして留学中のことでした.てんかんについて勉強するにつれて,てんかんの外科治療も一緒に研修できないかと模索したところ,実際に手術をする脳神経外科の臨床フェローとなるためには,ECFMG certificateの取得が必要でした.かくして,30代も半ばになってから,再び医師国家試験(それも外国の)にチャレンジすることになりました.
USMLEとはUnited States Medical Licensing Examinationの略称であり,米国の医師国家試験のことです.この試験を主催するのは,医事審議会連合(Federation of State Medical Boards:FSMB)と国立医療試験審議会(National Board of Medical Examiners:NBME)という2つの組織であり,Step1,Step2 CK・CS,Step3の3つのステップ,計4つの試験で構成されています.Step1は基礎医学,Step2は臨床医学に関する試験であり,Step2 CK(clinical knowledge)は臨床医学の知識問題,Step2 CS(clinical skills)は問診,診察,診断,患者説明,カルテ記載などの臨床技能試験,Step3はコンピューターシミュレーションなどを含む,総合的な医療知識と実践に関する試験といった内容です.外国人が臨床研修をするために必要なtraining licenseを取得するには,このStep2まで合格して,Educational Commission for Foreign Medical Graduates(ECFMG)という,外国医学部出身者が米国内で医療を行うための資格を認可する機関よりECFMG certificateを取得する必要があります.これは言ってしまえば,研修をするための仮免許のようなものです.米国の医師免許は州ごとに発行され,その州の永続医師免許を取得するにはStep3に合格することが必要になります.通常の臨床研修をするのならば,Step2まで合格すれば十分ですが,その後も医師として米国で働くか,2-year ruleが適用されるJ-1 visaでなく,H-1B visaで研修する場合は,Step3まで合格している必要があります.自分の目的に応じて,どのStepまで必要かが決まるわけです.
ちなみに米国で臨床研修をするには,レジデントに応募する方法と臨床フェローに応募する方法の大きく2通りがあります.脳神経外科のレジデントは7年間で脳神経外科領域全般についての研修を行い,フェローは1〜2年かけて,subspecialityの研修を行いますが,重要なことは,レジデンシープログラムを修了すると米国の脳神経外科専門医の受験資格が得られるのに対して,フェローシップを修了しても受験資格は得られないということです.つまり,レジデントはプログラム修了後も米国で脳神経外科医として働くことが前提となっているため,ポジションの数が厳しく制限されており,競争率が高く,USMLEもかなりの高得点を取らなければなりませんが,フェローは研修後に帰国することが前提となっているため,レジデントほどハードルが高くありません.
私がこの試験に挑戦しようと思ったのは,米国クリーブランドクリニックのてんかんセンターに研究フェローとして留学中のことでした.てんかんについて勉強するにつれて,てんかんの外科治療も一緒に研修できないかと模索したところ,実際に手術をする脳神経外科の臨床フェローとなるためには,ECFMG certificateの取得が必要でした.かくして,30代も半ばになってから,再び医師国家試験(それも外国の)にチャレンジすることになりました.
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