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間脳下垂体外科を専門として
著者: 山田正三1
所属機関: 1虎の門病院間脳下垂体外科
ページ範囲:P.183 - P.184
文献購入ページに移動この領域で最も頻度の高い下垂体腺腫(PA)の外科治療は,1907年のオーストリアのHermann Schlofferによる経蝶形骨洞手術(TSS)に始まり,20世紀の初頭には,現在のTSSの基本的なアプローチがほぼ出揃った.しかし,自らもその発展に寄与してきたHarvey Cushingが開頭術の優越性を主張して以来,1930年以降はPAの手術は開頭術が主体となった.その後,1960年代に入り,Jules Hardyが術中X線透視と顕微鏡をTSSに応用したことで,microscopic TSSが一気に北米から全世界に広がり,これがPA手術のgold standardとなった.私が下垂体手術を専門とするようになった時代は,まさにmicroscopic TSSの全盛期であった.そのような中で私は,25年間にわたり,その習得と,さらなる技術の改良を目指して,同世代の下垂体を専門とする人たちと切磋琢磨してきた.その結果,海綿静脈洞浸潤腫瘍に対する積極的な切除,従来禁忌であった鞍上部に主座を置く頭蓋咽頭腫への拡大TSSの応用,それでも切除が困難なものへの開頭,TSS同時併用手術の応用,硬膜欠損部の髄液漏予防に対する自家筋膜硬膜縫合術など,その欠点を補い,克服するために必死に工夫を重ねてきた.そしてようやく,われわれはmicroscopic TSSをそれぞれの視点で極めてきたとの自負も抱いていた.
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