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症例
Occipital sinusに直接流入する後頭蓋窩静脈を伴った退形成性上衣腫の1手術例
著者: 水戸部祐太1 矢尾板亮1 板垣寛1 松田憲一朗1 園田順彦1
所属機関: 1山形大学医学部脳神経外科
ページ範囲:P.707 - P.711
文献購入ページに移動後頭蓋窩の静脈解剖を理解しておくことは実際に手術を行う上で重要となるが,このバリエーションは複雑であり,記された文献も未だ少ない.Huangら3-5)は,後頭蓋窩の静脈還流を①superior or galenic draining group,②anterior or petrosal draining group,③posterior or tentorial draining groupの3つのグループに分類している.①は小脳半球上面や虫部上部,中脳を還流し,主にGalen大静脈に流入する静脈群であり,②は脳幹部(橋,延髄)や小脳半球前面または外側部を還流し,③は小脳虫部下部,小脳半球の後下面を上行し,confluence of sinuses,straight sinus,transverse sinusなどに流入することが知られている.第四脳室周囲の静脈群はanterior or petrosal draining groupに分類され,バリエーションは多様であり,上方ではpetrosal veinに流入し,下方ではsigmoid sinusに流入するものが多いが,marginal sinusに流入する場合もある.
今回われわれは,延髄背側,第四脳室からの静脈が架橋静脈を介して直接occipital sinus(OS)に流入した1例を経験したので報告する.
参考文献
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