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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科46巻9号

2018年09月発行

文献概要

絵心のない脳神経外科医

著者: 森岡隆人1

所属機関: 1福岡市立こども病院脳神経外科

ページ範囲:P.749 - P.750

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 人にはそれぞれいろいろなコンプレックスがあるが,私の場合,その1つに絵が下手なことがある.芸人たちが人物や動物の絵を下手にしか描けないことを笑う「アメトーーク:絵心のない芸人」というテレビ番組があるが,私はこれを見ていてもまったく笑えない.なぜなら,私の描く絵はそれ以下だからである.
 この「絵心のある」という能力が脳神経外科医にとって重要であることに気づかされたのは,入局してすぐであった.私は昭和56年に九州大学脳神経外科に入局した.当時の北村勝俊教授や二代目の福井仁士教授の手術記録には,英文の詳細な記述に加えて,手術所見の綺麗な絵が描かれており,この絵を見るだけで,長時間に及んだ手術の所見を一瞬にして把握できることに深い感銘を受けた.当時はCTスキャンや脳血管撮影などの二次元画像の所見をもとに手術を行っていたため,手術所見を三次元的な絵で描出することは,手術手技に匹敵するほどに重要であると研修医の私でも理解できた.三代目の佐々木富男教授からも,手術所見の絵をきちんと描けない脳神経外科医は手術も上手くならないと厳しく指導された.確かに,諸先輩方を見ていると,絵の上手い人は手術も上手いのである.しかし,絵心がない私は,先輩方の手術記録,種々の手術書,さらに本誌の「解剖を中心とした脳神経手術手技」などの絵を模倣しながら,その場その場を何とか切り抜けてきた.その後,画像技術の急速な進歩があり,手術所見の絵はあまり重要視されない風潮となった,と私は誤って思い込んでいた.平成22年に,「解剖を中心とした…」に念願の執筆機会をいただいたが,「3次元heavily T2強調画像を用いた腰仙部脂肪腫の手術」1)という内容で,手術所見の絵はまったく掲載していない.

参考文献

1) 3次元heavily T2強調画像を用いた腰仙部脂肪腫の手術.No Shinkei Geka 38:117-130, 2010
2) Neurosurgical management and pathology of lumbosacral lipomas with tethered cord. Neuropathology 37:385-392, 2017
3) Lateral lipomyelomeningocele of the hemicord with split cord malformation type Ⅰ revealed by 3D heavily T2-weighted imaging. Childs Nerv Syst 33:993-997, 2017
4) Neurosurgical pathology of limited dorsal myeloschisis. Childs Nerv Syst 34:293-303, 2018
5) Retained medullary cord extending to a sacral subcutaneous meningocele. Childs Nerv Syst 34:527-533, 2018
6) Enlargement of sacral subcutaneous meningocele associated with retained medullary cord. Childs Nerv Syst 34:1785-1790, 2018
7) Surgical histopathology of limited dorsal myeloschisis with flat skin lesion. Childs Nerv Syst(Epub ahead of print)
8) Bony and cartilaginous tissues in lumbosacral lipomas. Pediatr Neurosurg(Epub ahead of print)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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