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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科47巻10号

2019年10月発行

文献概要

特別寄稿

AI時代における脳と心③

著者: 浅野孝雄1

所属機関: 1中村元東方研究所東方学院

ページ範囲:P.1106 - P.1114

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第Ⅰ部 フリーマン理論とは何か(続き)
2.行動—知覚サイクルを構成するループ
4) 認知ループ
①エナクティブ・アプローチ
 ヴァレーラやトンプソンらは,認知とは世界の表象ではなく,むしろ世界と心を行為から産出することであるとし,そのような考え方を「エナクティブ・アプローチ(enactive approach)」と呼んでいる5,9).エナクティブ・アプローチの発展にかかわる多くの研究者を分野ごとに区分けした彼らの図は,読者の参考に資するところが多いと思われるので転載する(図)9).そこでは,3つのアプローチ・リングに,各分野における主要な貢献者が配置されており,フリーマンの名も神経科学における創発論者として記されている.この図を眺めることにより,現代における心脳問題の全貌を大まかに把握することができるであろう.

参考文献

1) Churchland P(原著),信原幸弘,西堤 優(訳):物質と意識—脳科学・人工知能と心の哲学.森北出版,東京,2016
2) Freeman WJ:Ndn, volume transmission, and self-organization in brain dynamics. J Integr Neurosci 4:407-421, 2005
3) Freeman WJ, Ahlfors SP, Menon V:Combining fMRI with EEG and MEG in order to relate patterns of brain activity of cognition. Int J Psychophysiol 73:43-52, 2009
4) Freemann WJ(原著),浅野孝雄(訳),津田一郎(校閲):脳はいかにして心を創るのか—神経回路網のカオスが生み出す志向性・意味・自由意志.産業図書,東京,2011
5) Maturana HR, Varela FJ(原著),河本英夫(訳):オートポイエーシス—生命システムとはなにか.国文社,東京,1991
6) 信原幸弘:心の現代哲学.勁草書房,東京,1999
7) 信原幸弘(編):シリーズ心の哲学(Ⅰ 人間篇/Ⅱ ロボット篇/Ⅲ 翻訳篇).勁草書房,東京,2004
8) 大森荘蔵:物と心.筑摩書房,東京,2015
9) Varela FJ, Thompson E, Rosch E(原著),田中靖夫(訳):身体化された心—仏教思想からのエナクティブ・アプローチ.工作舎,東京,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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