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IT自由自在
術中覚醒下言語野マッピングの言語課題の一元管理化を可能とするタブレット端末を使用したソフトウェア開発の試み
著者: 川田拓1 川崎聡大13 瀬溝香澄2 古西隆之2 黒住和彦3 市川智継3
所属機関: 1東北大学大学院教育学研究科 2岡山大学病院医療技術部 3岡山大学大学院医歯薬学総合研究科神経病態外科学
ページ範囲:P.357 - P.365
文献購入ページに移動言語野近傍に発生した脳腫瘍の摘出に際しては,機能温存と摘出による二次的神経障害の予防を目的として,開頭覚醒下で脳表を実際に刺激して脳機能マッピング(以下,術中言語野マッピング)が行われている.本邦でも2013年に「覚醒下手術ガイドライン」が定められ,多くの施設で実施されるようになった7).一方で,患者の神経症状や個々の望む機能的予後は多岐にわたるため,ガイドラインに示される典型的な言語課題だけでは対応することが難しい.今後,さまざまな症候や患者の希望に高い精度で対応するためには,課題の「オーダーメイド」化が必要となる.術中言語野マッピングの精度を高めるためには,患者の理解と協力はもとより,執刀医を中心に,覚醒のコントロールや全身管理を行う麻酔科医と連携し,術中の脳波モニタリング,術中および周術期の神経心理学的評価とそれに基づいた幅広い課題の準備が必要となる1).一方で,準備する課題の多さに比例して,マッピング中に生じるさまざまな課題の操作や入れ替えなどの作業量も多くなり,円滑なマッピングの妨げともなりかねない.
今回われわれは,これらの課題解決に資するべく,術前評価から実際の術中言語野マッピングまで一貫して使用・管理し得るプラットフォーム的なソフトウェアの開発を試みた.情報通信技術(information and communication technology:ICT)を活用して,状態変動に柔軟に対応し,課題を1つのタブレットで集中的に制御することで,課題の展開や記録をより客観かつ簡便化する(本論文では「一元管理化」と表現する)ことを試みたので報告する.
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