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鷹の眼と獅子の心と貴婦人の手
著者: 藤津和彦1
所属機関: 1横浜医療センター脳神経外科
ページ範囲:P.385 - P.387
文献購入ページに移動私がFalkenauge, Löwenherz, Jungfernhandを初めて教わったのは東京大学医学部の学生の時で,脳神経外科初代教授の故・佐野圭司先生の講義においてである.佐野先生は,「ゲーテが自分を治療してくれた外科医に捧げた詩の中に,このような一節がある」と言われながら,その詩のほぼ全文をドイツ語で紹介された.先生の教養の深さと見事なドイツ語の美しい響きにすっかり感動した私は,この3つの言葉はゲーテの詩が原典なのだと思い込んでしまった(佐野先生がそのように言われたわけではない).その後に色々調べてみたところ,ゲーテの時代よりも1〜2世紀前頃のヨーロッパで,これらは「理想の外科医の資質」として広く言い伝えられており,原典は不明であった.“Jungfer”が“Jungfrau”になっているものもあり,3資質の順序もまちまちに伝わっているが,私が表題に挙げた語順にはForte-Fortissimo-Pianoの音楽的抑揚があって一番美しいと,これまた勝手に私は思い込んでいる.
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