文献詳細
文献概要
扉
時の流れを感じながら
著者: 鰐渕昌彦1
所属機関: 1大阪医科大学脳神経外科学教室
ページ範囲:P.883 - P.884
文献購入ページに移動川が流れるのと同様に,「時」にも流れがある.本原稿を書いているのが令和2年4月で,元号が変わってから既に1年が過ぎようとしている.医師になってから,「時」は常に早く過ぎ去り,年を経るごとに加速しているように感じる.日が積み重なって月となり,月が積み重なって年となり,年が積み重なって10年単位の流れができている——と思えるようになったのは,医師になって約30年が経過した今であって,若い時は振り返る余裕などなく,ひたすら目の前の患者さんに向き合ってきた.医師になりたての頃はプライベートな時間と呼べるものはほとんどなく,今はなきポケットベルという見えない鎖に繋がれていた.“Work-life balance”という言葉は世の中にあっても,自分を取り巻く環境の中にはなかった時代である.平成前半の年越しは,そのほとんどを術場で迎え,令和という新元号の発表時も手術中であった.自身の脳神経外科医人生の中で,転機のカギとなってきたのが常に手術であり,今でもうまくいった手術の場面,痛い目にあった瞬間などが脳裏をよぎることがある.
参考文献
掲載誌情報