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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科48巻12号

2020年12月発行

文献概要

テクニカル・ノート

段階的に開窓術を行った髄膜炎後多房性水頭症の1例

著者: 伊藤美以子1 松田憲一朗1 佐藤慎哉1 園田順彦1

所属機関: 1山形大学医学部脳神経外科

ページ範囲:P.1121 - P.1128

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Ⅰ.はじめに
 脳室炎を伴う重篤な髄膜炎には,多房性水頭症が続発し治療に難渋することがある.特に新生児の髄膜炎では高頻度に脳室炎を合併し,約30%に隔壁形成を認めたとの報告がある5).治療は髄液腔を単一化した上での脳室腹腔短絡術(ventriculoperitoneal shunt:VPS)であるが,経時的に髄液腔の構造が変化し,病態の収束までに複数のデバイスの導入を要する場合もある.しかし,感染やシャント不全などの合併症や,デバイスごとの流量管理の煩雑さを考慮すると,シャントシステムを最小限にとどめる必要がある.今回われわれはmultimodalityを駆使し,単一のシャントシステムで管理し得た髄膜炎後多房性水頭症の1例を経験したので報告する.

参考文献

1) Bauer DF, Tubbs RS, Acakpo-Satchivi L:The Seldinger technique for ventricular catheter exchange:a technical note. Childs Nerv Syst 24:753-755, 2008
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3) Lee YH, Kwon YS, Yang KH:Multiloculated hydrocephalus:open craniotomy or endoscopy? J Korean Neurosurg Soc 60:301-305, 2017
4) 松田真樹子,澁谷 聡,及川崇紀,村上謙介,望月 廣:神経内視鏡治療が奏功した晩発性膜性中脳水道閉塞症の1例.臨床神経51:590-594, 2011
5) 中島雅央,池田尚人,鈴木泰篤,阿部琢巳:神経内視鏡が有用であった脳室炎後水頭症の1例.脳外誌13:674-677, 2004
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7) Peraio S, Amen MM, Ali NM, Zaher A, Mohamed Taha AN, Tamburrini G:Endoscopic management of pediatric complex hydrocephalus. World Neurosurg 119:e482-e490, 2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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