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雑誌目次

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科49巻4号

2021年07月発行

雑誌目次

特集 定位・機能神経外科の基礎と臨床

Editorial

著者: 上利崇

ページ範囲:P.697 - P.697

 薬剤治療抵抗性の不随意運動症を中心とする運動障害に対して,定位・機能神経外科が果たす役割は大変大きく,患者さんのADL, QOLの向上に大きく貢献しています.近年の医療工学技術の向上に伴い,体内植え込み型のデバイスの改良が進んでおり,さらに凝固・破壊術もリバイバルし,集束超音波による新たな治療も導入され,患者さんのニーズに合わせた治療選択肢が増えてきています.定位・機能神経外科の領域は今後もさらに多様化し,発展すると考えられます.
 技術の進歩によって治療水準はある程度担保されると思われますが,治療成績を大きく左右するのは手術の精度であることは現在も変わりありません.そのためには,定位・機能神経外科の基本をしっかりと習熟していることが重要と考えられます.

Ⅰ 定位・機能神経外科に必須な基礎知識

定位・機能神経外科の歴史と現状

著者: 平孝臣

ページ範囲:P.698 - P.710

Point
・定位・機能神経外科は脳神経外科で最も古い領域で,戦前から行われてきた.これらでの経験は,ヒトの神経生理学の発展に大きく寄与した.
・定位脳手術は日本では1970年代まで世界をリードする勢いで行われ,楢林博太郎,
佐野圭司らを中心に,日本を代表する脳神経外科医の多くが携わっていた.
・現在,脳神経外科で一般化している神経内視鏡,ナビゲーション,術中モニタリングなどは,低侵襲と精度を重視する定位・機能神経外科分野から発展したものである.
・2000年以降,脳深部刺激療法(DBS)の出現で定位・機能神経外科は隆盛を来したように思われるが,定位・機能神経外科医にしか治せない多くの患者が未治療のまま放置されているのが実情である.脳神経外科がより社会的に評価されるためにも,より多くの脳神経外科医が定位・機能神経外科に関与する必要がある.

大脳基底核・視床と神経回路—凝固術や刺激術はどのように作用するのか?

著者: 村瀬永子 ,   平林秀裕

ページ範囲:P.712 - P.723

Point
・基底核には,四肢の運動,眼球運動,情動,認知とかかわる皮質—基底核—視床—皮質を介するループが並列し,体部位特異性がある.
・基底核はハイパー直接路,直接路,間接路といった経路による複雑な興奮(脱抑制)と抑制の回路を成している.
・これら経路による発火モデル(rate model)でパーキンソン病やジストニアといった疾患の病態が説明されてきた.しかしそれで説明できない点もみられる.
・脳深部刺激(DBS)の電極から得られる局所フィールド電位(LFP)の研究から,パーキンソン病では広範囲の異常な同期活動が病態の本質であろうと推察されている.

臨床に役立つ大脳基底核の解剖

著者: 川崎隆 ,   木村唯子 ,   辛正廣 ,   新井信隆

ページ範囲:P.724 - P.736

Point
・視床下核(STN)は脳標本上は境界明瞭に同定される.上方にはForel H野,下方には黒質が位置する.
・淡蒼球外節(GPe)と内節(GPi)は線維組織により境界される.視索はGPiの直下にある.
・視床亜核はMRI,脳組織標本の肉眼所見では区別は不可能だが,顕微鏡下に細胞構築により区別できる.
・脚橋被蓋核(PPN)は下丘レベルで,上小脳脚と内側毛帯にはさまれた三日月型の灰白質である.
・Posterior subthalamic area(PSA)はSTN後方の白質で,不確帯後部との境界は不明瞭である.

定位的脳手術における微小電極記録

著者: 岩室宏一

ページ範囲:P.737 - P.745

Point
・淡蒼球内節(GPi)は高頻度で持続発火する神経活動を特徴とし,後腹側領域では感覚運動関連応答が記録できる.
・視床下核(STN)には不規則な発火を特徴とする神経細胞が密に存在し,背外側領域では感覚運動関連応答が記録できる.
・視床中間腹側核(Vim核)の外側領域では振戦に同期する神経活動を高率に認め,感覚運動関連応答を有する.
・GPi,STN,Vim核の感覚運動領域にはそれぞれ身体部位局在がある.

▼コラム

ニューロサイエンスの体現者—谷口真先生を偲んで

著者: 上利崇

ページ範囲:P.746 - P.749

 「クビのジストニアって,どの動物から出ると思う?」
 「え,考えたことなかったですけど……」

Ⅱ 定位・機能神経外科手術の対象となる主な疾患

パーキンソン病

著者: 圓尾知之

ページ範囲:P.750 - P.759

Point
・パーキンソン病は振戦,筋強剛,無動・寡動,姿勢反射障害などの運動症状と,多様な非運動症状を呈する疾患である.
・2015年にMDS(International Parkinson and Movement Disorder Society)から新たな診断基準が提唱され,支持的基準の項目にMIBG心筋シンチグラフィと嗅覚検査が挙げられている.
・薬物治療は症状出現早期から開始することが推奨され,患者背景を考慮した薬剤選択が必要とされている.
・外科的治療のタイミングはwearing offやジスキネジアなどの運動合併症が出現し,かつon時のADLが保たれている時期が効果的である.

振戦に対する定位的外科治療

著者: 谷直樹 ,   押野悟 ,   細見晃一 ,   ,   貴島晴彦

ページ範囲:P.760 - P.768

Point
・本態性振戦に対する定位的外科治療法として,脳深部刺激療法,高周波視床凝固術,集束超音波視床破壊術,ガンマナイフ視床凝固術が利用できる.
・破壊術,刺激術ともに視床中間腹側核(Vim核)が標的核であるが,刺激術ではposterior subthalamic area(PSA)も有力な標的核となる.
・刺激術はRCTの結果より凝固術と比べ効果・安全性に優れると考えられるが,近年,凝固術の技術的な進歩がみられる.

ジストニア

著者: 山田和慶

ページ範囲:P.770 - P.781

Point
・ジストニアの治療戦略において,定位・機能神経外科は不可欠の治療手段である.
・ジストニアに対する定位・機能神経外科の主な治療ターゲットは,淡蒼球内節(GPi)と視床吻側腹側(Vo)核である.
・脳深部刺激療法(DBS)が主流であるが近年,神経核凝固術が再評価されつつある.

▼コラム

定位・機能神経外科医を目指す方への海外留学のすすめ

著者: 平林秀裕

ページ範囲:P.782 - P.785

人間万事塞翁が馬
 “Stereotactic Imaging Functional Neurosurgery”
 2014年5月,Vårpromotion(Umeå University)でPh.D.を授与された.人生で最も感激した瞬間である.

Ⅲ 定位・機能神経外科の外科的治療手技 脳深部刺激療法(DBS)

視床下核刺激療法(STN-DBS)

著者: 梅村淳

ページ範囲:P.787 - P.798

Point
・視床下核刺激療法(STN-DBS)は,進行期パーキンソン病の運動合併症(wearing offやジスキネジア)に対して最も広く行われている標準的手術療法である.
・手術は定位脳手術の方法で行う.MRIガイドでのターゲティングに微小電極記録を併用してSTNを同定し,そこにDBS電極を留置する.
・DBS電極の留置は局所麻酔下で行われ,術中の試験刺激により効果や副作用を確認しながら行う.

淡蒼球刺激療法(GPi-DBS)

著者: 樋口佳則 ,   青柳京子 ,   岡原陽二 ,   和泉允基

ページ範囲:P.799 - P.809

Point
・淡蒼球刺激術は,パーキンソン病,ジストニアなどの運動過多を生じる不随意運動症の治療オプションである.
・淡蒼球の内側には内包,腹側には視索が存在し,淡蒼球内節(GPi)の腹外側部2/3が感覚運動領域で視床へ投射する.
・パーキンソン病症例では,視床下核(STN)刺激との違い(ジスキネジア抑制効果など)を理解し選択する.

視床刺激療法(Vim-DBS)—振戦に対する視床中間腹側核刺激電極植え込み手術手技

著者: 森下登史 ,   田中秀明 ,   井上亨

ページ範囲:P.810 - P.819

Point
・通常,視床神経核の可視化は困難であるため,典型的な電極留置部位の座標決定方法を学ぶことが大切である.
・微小電極記録では,somatotopyと運動誘発電位・感覚誘発電位から電極位置を推測することができる.
・治療用電極留置時の試験刺激は,振戦制御効果と刺激誘発性副作用出現閾値を確認する上で非常に有用な手技である.

その他の標的核に対するDBS—パーキンソン病と本態性振戦に対する後腹側視床領域,淡蒼球視床路,脚橋被蓋核の定位脳手術

著者: 戸田弘紀 ,   神辺大輔 ,   島淳 ,   西田南海子 ,   澤本伸克

ページ範囲:P.820 - P.828

Point
・後腹側視床領域の脳深部刺激療法は本態性振戦,パーキンソン病に有効である.
・淡蒼球視床路破壊術はパーキンソン病に対する治療効果がある.
・脚橋被蓋核はパーキンソン病の歩行障害に対する治療標的として研究されている.

DBSの刺激調整法とデバイスの特徴

著者: 佐々木達也 ,   伊達勲

ページ範囲:P.829 - P.837

Point
・刺激調整の基本は,各電極の症状改善閾値と副作用閾値を調べ(モノポーラ・レビュー),治療域の広い電極を使用することである.
・副作用出現時には症状と標的周囲の機能解剖とを照らし合わせ,原因となっている部位への刺激波及を避ける工夫をする.
・各デバイスが有するディレクショナル刺激,adaptive DBSなどの特殊な刺激方法を積極的に利用する.

定位的高周波熱凝固・破壊術

視床・淡蒼球凝固・破壊術

著者: 堀澤士朗 ,   平孝臣

ページ範囲:P.838 - P.845

Point
・高周波熱凝固手術は,振戦・ジストニアなどの不随意運動に対して長期的に改善をもたらすことができる.
・高周波熱凝固手術における後遺症を呈する脳出血は極めて稀であり,安全性は高い手術である.
・振戦に対する両側脳凝固手術以外の安全性は確立されておらず,構音障害や声量低下などの症状が重篤に生じる可能性がある.
・両側脳凝固手術による手術リスクが懸念される場合は脳深部刺激療法(DBS)の適応を検討する必要がある.

経頭蓋MRガイド下集束超音波治療

MRガイド下集束超音波治療による凝固術—神経疾患への応用と治療手技

著者: 前澤聡 ,   中坪大輔 ,   津川隆彦 ,   加藤祥子 ,   柴田昌志 ,   高井想生 ,   鳥居潤 ,   若林俊彦 ,   齋藤竜太

ページ範囲:P.847 - P.856

Point
・集束超音波治療(FUS)は皮膚切開を必要としない最新の定位・機能神経外科治療であり,その凝固術は本態性振戦およびパーキンソン病に対して保険適用となっている.
・集束超音波の特性と治療法の原理を十分理解し,安全性を考慮しながら,最適な標的部位に十分なsonicationを行うことで,良好な治療効果を得ることができる.
・脳深部刺激療法(DBS)や他のモダリティの特性も理解し,十分なインフォームド・コンセントに基づいた患者選択を行うことが重要である.

痙縮に対する外科的治療

末梢神経縮小術,バクロフェン髄腔内投与療法

著者: 内山卓也 ,   髙橋淳

ページ範囲:P.858 - P.872

Point
・痙縮の病態を理解し,症状を見逃さず適切な時期に治療に結びつけることが重要である.
・選択的末梢神経縮小術(SPN)の適応には,痙縮罹患筋肉と神経支配を理解することが重要である.
・バクロフェン髄腔内投与(ITB)療法は調節性に優れた治療法であり,さまざまな疾患や病態に適応ができることを理解する.

Ⅳ 定位・機能神経外科手術の合併症とその対策

定位・機能神経外科手術の合併症とその対策

著者: 旭雄士

ページ範囲:P.873 - P.881

Point
・定位・機能神経外科手術には多数のピットフォールがある.
・合併症の種類・予防・対処方法を知っておく必要がある.
・他施設に手術見学に行き,手術手技を見直すことも重要である.

▼コラム

日本定位・機能神経外科学会症例登録の概要

著者: 深谷親

ページ範囲:P.882 - P.887

症例登録の目的と経緯
 日本定位・機能神経外科学会における症例登録は2004年に開始された.当初の目的は,症例登録数を基に適切に手術が施行されている施設を認定し,そこでの手術経験を基に技術認定を行うというものであった.その目的はほぼ達成され,安定したシステムが構築された.例年30〜40施設が認定を受け,これまでに239人の技術認定医が誕生している.
 症例登録の内容は,いくつかの変遷を経て,2014年に現在のフォーマットとなった.2014年以降の6年間を集計し,俯瞰した結果を2021年1月に開催された第60回日本定位・機能神経外科学会で報告したので,その概要をここで紹介したい.

総説

実験的脳動脈瘤モデルを用いた基礎研究の歴史と最新知見

著者: 小関宏和 ,   村山雄一

ページ範囲:P.888 - P.897

Ⅰ はじめに
 脳動脈瘤は,発生から増大,破裂に至るまでの経過を予測することが極めて困難な疾患であることから,その病態機序の解明には臨床像を模倣した疾患モデルが不可欠である.臨床での動脈瘤壁の病理学的・遺伝学的所見,および血管画像を用いた流体解析などから,脳動脈瘤が血流ストレス依存的な疾患であり,血管壁に炎症を伴う病変であることが示唆されてきたが1-4),それらの因果関係や,炎症に至るまでの機序については未だ不明な点も多い.この課題を解決すべく,70年ほどの間に実験的な脳動脈瘤モデルの開発が進み,それと相まって疾患に対する理解が深まり,そこから生まれてくる新たな課題に対してそれらのモデルが進化を遂げてきた,あるいは新たなモデルが生み出されてきた.
 本稿では,実験的脳動脈瘤モデルの歴史を紐解きながら,それらのバリエーションや特徴について概説する.詳細な病態機序の解説については他稿に譲るが,これらの実験的脳動脈瘤モデルによって得られた最新の知見について紹介する.

研究

Diffuse midline glioma, H3K27M mutantを含む視床部脳幹部神経膠腫の検討

著者: 金瑛仙 ,   工藤琢巳 ,   田村郁 ,   壽美田一貴 ,   小林大輔 ,   田中洋次 ,   稲次基希 ,   成相直 ,   石井賢二 ,   前原健寿

ページ範囲:P.901 - P.908

Ⅰ.緒 言
 2016年に脳腫瘍のWHO分類が改訂され,新たにdiffuse midline glioma, H3K27M mutantという分類が加わった.これは,脳幹や視床,脊髄に主座を置く神経膠腫のうち,H3K27M変異のある腫瘍である.Diffuse midline glioma, H3K27M mutantと診断するためには病理所見が必須であるが,特に脳幹部神経膠腫は部位の特性上,手術を施行せずに画像所見から診断することも多い.そのため病理学的な所見が得られていないことが多く,これらのなかには,diffuse midline glioma, H3K27M mutantとそれ以外の神経膠腫が混在している可能性がある.Diffuse midline glioma, H3K27M mutantを含む視床および脳幹部神経膠腫は予後が悪く,また標準的治療法は未だ確立されていないためその病態の把握は重要であるが,上述の通り本疾患では病理学的な検討を十分に行えないことが多く,その病態は十分には解明されていない.
 11C-methionine-positron emission tomography(MET-PET)は神経膠腫の診断に最も有用な検査の1つで,われわれは神経膠腫の診断と管理におけるMET-PETの有用性について報告してきた7).神経膠腫の診断においては,ガドリニウムによるMRIでの造影所見が汎用性が高く頻繁に使用されているが,blood-brain barrier(BBB)の破綻のない症例においては悪性度の高い神経膠腫であっても造影効果が乏しいことがある.一方でMET-PETではメチオニンが細胞増殖や血管増生している部分へ集積するため悪性神経膠腫の診断に有用で,また神経膠腫の悪性度およびその予後の予測が可能である.しかし視床および脳幹部神経膠腫におけるMET-PETの有用性についての報告は少ない.

症例

失語症で発症した特異なドレナージルートを有する前頭蓋窩硬膜動静脈瘻の1例

著者: 梶本裕人 ,   田中潤 ,   山本大輔 ,   藤田敦史 ,   三宅茂

ページ範囲:P.909 - P.913

Ⅰ.はじめに
 硬膜動静脈瘻(dural arteriovenous fistula:dAVF)は硬膜または硬膜よりなる組織に発生した動静脈シャント2, 7)で,頭部外傷後や開頭術後にも発生する1).前頭蓋窩硬膜動静脈瘻(anterior cranial fossa dAVF:ACF-dAVF)は頭蓋内dAVFの中でも稀だが6),頭蓋内出血などaggressiveな症状を呈することが多い3, 11).眼動脈・篩骨動脈が流入動脈の主体となり,前頭葉表面の皮質静脈から上矢状洞へ還流することが多く,前頭蓋底部の静脈を経由して海綿静脈洞(cavernous sinus:CS)や浅中大脳静脈(superficial middle cerebral vein:SMCV)に逆流することは稀である5, 8, 9, 12, 13).今回われわれは,失語症状で発症し前頭蓋底静脈からCSを経由して左SMCVへ逆流する特異なドレナージルートを有するACF-dAVFに対して,経動脈的塞栓術(transarterial embolization:TAE)を施行し,失語症状が改善した1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

書評

—監訳:徳田 安春—医療者のための—成功するメンタリングガイド

著者: 志水太郎

ページ範囲:P.899 - P.899

全医療人必読! 徳田安春&オール沖縄Presents,メンタリングの金字塔
 まず,本書評を書かせていただくにあたって触れるべきこと.それは何を隠そう,評者(私)の最強メンターは本書の監訳者,徳田安春先生であるということである.徳田先生はどのようなメンターであったか? それを語るには,本書で個人的に最重要章と感じる,Chapter 3をお読みいただきたい.同章の骨格となるポイント,すなわち「メンターでなく,メンティー自身の成長に有益なタスクを与えよ」「動き続けよ」「難しい対話に備えよ」「いつでもつながれるようにする」(詳細は本書をお読みください)などは,まさに往年の徳田(メンター)—志水(メンティー)の関係そのものを言語化したものである.徳田先生と出会ったのは2005年11月,東京都立墨東病院での徳田先生の講演で,自分はそのシャープかつ俯瞰的な指導に魅了され,徳田先生の行く先々に追随し,オンライン・オフライン問わず,バスの中で,飛行機の隣で,新幹線の往復で,フレッシュひたちの中で,貴重な教えをスポンジのように学んだ.宝物のような時間だった.それは自分が米国に滞在した中でも後も継続したのである.「ジャーナルではレビューとエディトリアルを毎週フォローしてください」「私が診ます,といえば丸く収まるのです」「スピードと集中がカギです」など枚挙に暇がないが,すべてメンティーの自分がメンターとして拡散すべき「グレート・アントニオ」徳田の教えである.
 いきなりChapter 3にフォーカスしたが,ここで本書の構成を紹介したい.本書は全10chapterから成り,メンターへ(Chapter 1-3),メンティーへ(Chapter 4-7),そしてメンター&メンティーへ(Chapter 8-10),という3部構成に分けられている(さらに巻末に約50ページにわたるメンタリングの参考文献の数々の紹介もうれしい).とは言え,メンターはメンティーの章を,またメンティーはメンターの章を読むことで,相手の立場を慮ることができる.その結果,すべての読者は本書の全ページから重要な学びを得られるだろう.

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目次

ページ範囲:P.692 - P.693

欧文目次

ページ範囲:P.694 - P.695

次号予告

ページ範囲:P.914 - P.914

基本情報

Neurological Surgery 脳神経外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1251

印刷版ISSN 0301-2603

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