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研究
Diffuse midline glioma, H3K27M mutantを含む視床部脳幹部神経膠腫の検討
著者: 金瑛仙1 工藤琢巳1 田村郁1 壽美田一貴2 小林大輔3 田中洋次1 稲次基希1 成相直1 石井賢二4 前原健寿1
所属機関: 1東京医科歯科大学脳神経外科 2東京医科歯科大学血管内治療科 3東京医科歯科大学人体病理分野 4東京都健康長寿医療センター神経画像研究チーム
ページ範囲:P.901 - P.908
文献購入ページに移動2016年に脳腫瘍のWHO分類が改訂され,新たにdiffuse midline glioma, H3K27M mutantという分類が加わった.これは,脳幹や視床,脊髄に主座を置く神経膠腫のうち,H3K27M変異のある腫瘍である.Diffuse midline glioma, H3K27M mutantと診断するためには病理所見が必須であるが,特に脳幹部神経膠腫は部位の特性上,手術を施行せずに画像所見から診断することも多い.そのため病理学的な所見が得られていないことが多く,これらのなかには,diffuse midline glioma, H3K27M mutantとそれ以外の神経膠腫が混在している可能性がある.Diffuse midline glioma, H3K27M mutantを含む視床および脳幹部神経膠腫は予後が悪く,また標準的治療法は未だ確立されていないためその病態の把握は重要であるが,上述の通り本疾患では病理学的な検討を十分に行えないことが多く,その病態は十分には解明されていない.
11C-methionine-positron emission tomography(MET-PET)は神経膠腫の診断に最も有用な検査の1つで,われわれは神経膠腫の診断と管理におけるMET-PETの有用性について報告してきた7).神経膠腫の診断においては,ガドリニウムによるMRIでの造影所見が汎用性が高く頻繁に使用されているが,blood-brain barrier(BBB)の破綻のない症例においては悪性度の高い神経膠腫であっても造影効果が乏しいことがある.一方でMET-PETではメチオニンが細胞増殖や血管増生している部分へ集積するため悪性神経膠腫の診断に有用で,また神経膠腫の悪性度およびその予後の予測が可能である.しかし視床および脳幹部神経膠腫におけるMET-PETの有用性についての報告は少ない.
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