文献詳細
文献概要
書評
—監修:氏家 良人 編:木澤 義之—救急・集中治療領域における緩和ケア
著者: 林寛之1
所属機関: 1福井大学附属病院・総合診療部
ページ範囲:P.1040 - P.1040
文献購入ページに移動患者さんの人生に寄り添うための,熱くて深い! 救急緩和
Palliative emergency medicine(救急緩和)というのは,世界でも比較的新しいトピックで,北米の救急医学にはフェローシップコースもできている.救命・集中治療と緩和ケアなんて,スポコン漫画と恋愛小説くらいベクトルの違うもののようにみえるが,どっちも必要なんだ.生きとし生けるものは全てに始まりと終わりがあり,人間の死亡率はなんと100%! 一世を風靡(ふうび)した『鬼滅の刃』の炎柱(えんばしら),煉獄杏寿郎も「老いることも死ぬことも人間というはかない生き物の美しさだ」と言っているではないか.患者さんの人生において,その人自身の価値観を尊重し,その人らしい人生を送る「生き方(死に方ではないよ)」をお手伝いすることもわれわれ医療者の大事な仕事であり,救急・集中治療も緩和ケアも目の前の患者さんにとっては非常に重要だ.患者さんの意思に反した延命処置がいかに医学的に無駄であり,患者さんの自尊心を傷つけているかということは,世間でもたびたび議論の的になっている.その意味では,本書は手探り状態の日本の「救急・集中治療の緩和ケア」において「一寸先は光」をまさしく照らしてくれる.
医学生や研修医も含め,多くの医師はこんなの習ったことがない.目の前の困難事例を各自の臨床能力と経験だけで乗り切ってつらい思いをしていることだろう.でも本書を読めば大丈夫.本書はその歴史的成り立ちから,考え方,さらには具体的な対処法まで,熱く深く記載されている渾身の1冊となっている.決してHow toだけでは語れないんだ.
Palliative emergency medicine(救急緩和)というのは,世界でも比較的新しいトピックで,北米の救急医学にはフェローシップコースもできている.救命・集中治療と緩和ケアなんて,スポコン漫画と恋愛小説くらいベクトルの違うもののようにみえるが,どっちも必要なんだ.生きとし生けるものは全てに始まりと終わりがあり,人間の死亡率はなんと100%! 一世を風靡(ふうび)した『鬼滅の刃』の炎柱(えんばしら),煉獄杏寿郎も「老いることも死ぬことも人間というはかない生き物の美しさだ」と言っているではないか.患者さんの人生において,その人自身の価値観を尊重し,その人らしい人生を送る「生き方(死に方ではないよ)」をお手伝いすることもわれわれ医療者の大事な仕事であり,救急・集中治療も緩和ケアも目の前の患者さんにとっては非常に重要だ.患者さんの意思に反した延命処置がいかに医学的に無駄であり,患者さんの自尊心を傷つけているかということは,世間でもたびたび議論の的になっている.その意味では,本書は手探り状態の日本の「救急・集中治療の緩和ケア」において「一寸先は光」をまさしく照らしてくれる.
医学生や研修医も含め,多くの医師はこんなの習ったことがない.目の前の困難事例を各自の臨床能力と経験だけで乗り切ってつらい思いをしていることだろう.でも本書を読めば大丈夫.本書はその歴史的成り立ちから,考え方,さらには具体的な対処法まで,熱く深く記載されている渾身の1冊となっている.決してHow toだけでは語れないんだ.
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