icon fsr

文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科5巻1号

1977年01月発行

文献概要

手術手技

脳寄生虫の手術—脳肺吸虫症を中心として

著者: 青木秀夫1

所属機関: 1山口大学脳神経外科

ページ範囲:P.15 - P.20

文献購入ページに移動
はじめに
 人体に寄生する寄生虫のうち脳にみられるものは肺吸虫.日本住血吸虫,有鈎嚢虫44),人体包虫,施毛虫,マンソン孤虫23)の6種が知られているが14,27),さらに広東住血線虫32),糞線虫31)その他の稀なものや,原虫症としてToxoplasmosisなどがある.しかし本邦においては特に前二者が圧倒的に多い.
 脳腫瘍(広義)中で寄生虫症の占める割合はCushingの統計39)では2,023例中0.1%,Zülchの5,718例中9例0.16%38)であるが,本邦では1957年桂16)による全国統計で3,312例中55例,1.6%と著しく高頻度であった.次いで1963年植木45)による集計では7.108例中64例,0.9%と相当減少しているがなお欧米に比し高率である.しかし最近本症が著しく減少の傾向を示していることは,全国各施設で経験されているところである.事実前述の令国集計は両者間に6年間の隔たりがあるが,この間の増加分をみると3,896例中9例,0.23%となり,相当欧米の統計に近い.これは本症に対する予防医学,啓蒙運動が地道な効果をあげていることを示しており,まことに喜ばしい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?