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研究
外側型脳出血の機能予後—神経放射線学的作図法
著者: 藤津和彦1 藤野英世1 山下俊紀1 桑原武夫1 小田正治2 金一宇3
所属機関: 1横浜市立大学脳神経外科 2国立横浜病院脳神経外科 3西新井病院脳神経外科
ページ範囲:P.1033 - P.1040
文献購入ページに移動外側型脳出血の麻痺の予後を決定する最も重要な因子は内包後脚の破壊の程度である.内包後脚への血腫の進展の程度の目やすとしては,従来から脳血管撮影前後像における外側線条体動脈の内側偏位が重視されている.しかしながら,血腫がmass effectとして内包を変形,伸展,破壊する要素は注目されていない.たとえばFig.1左に示すごとく,外側線条体動脈の内側偏位が同じであっても,mass effectの大きい方が内包後脚に対して強い影響を与え,破壊も当然大きくなることが予想される.反対に,Fig.1右に示すごとく,線条体動脈の内側偏位が同程度であっても,血腫のmass effect1皮質側に存在する方が,内包に対して影響が少ない.したがって,血腫の進展による外側線条体動脈の偏位のほかに,mass effectが内包後脚に与える影響を考慮に入れることが,麻痺の予後を判定するうえに重要であると考えられる.
そこで我々は,上記,両者の要素を考慮に入れて,内包後脚の破壊の程度を知るため,以下に述べるような方法を考案した.すなわち,血腫の内包後脚への直接進展の程度を外側線条体動脈の内側偏位でとらえ,mass effectによる内包後脚の伸展,変形は内包後脚外縁の仮想線を作図することにより,とらえた.この両者の位置的関係により,Grade I-Vの5段階に分類した.
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