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研究
ヒト胎芽における脳脊髄液循環路の発達
著者: 苧坂邦彦1 松本悟1 安田峯生2
所属機関: 1神戸人学脳紳経外科 2愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所周生期学部門
ページ範囲:P.1047 - P.1055
文献購入ページに移動従来脳脊髄液は主として脈絡叢より産生され,くも膜顆粒より吸収されると信じられ,水頭症の分類さらに治療もこの考えにそって進められてきた.しかし最近,灌流法またはアイソトープを用いた研究などによって脳脊髄液は脈絡叢以外からも産生され,くも膜顆粒以外の場所でも吸収されるとの考えが有力になってきている1,12,13,16,19,21).脳脊髄液産生および吸収場所ならびにその機序に関してはすでに膨大な研究がなされてきたが,この問題に対して発生学的見地から考察を加えた研究はほとんどない.脳脊髄液循環路の胎生学的研究は,脳脊髄液産生吸収機転の解明に有力な手段となるのみならず,Gardnerのhydrodynamic theorys8,9)など中枢神経系奇形発生機序の理解にも必要不可欠である.
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