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症例
眼前暗黒発作と視力障害のみを自覚症状とした両側内頸動脈,左椎骨動脈閉塞症の1例
著者: 高良英一1 清水隆1 門脇弘孝1 小林直紀2 喜多村孝一3
所属機関: 1東京女子医科大学脳神経センター脳神経外科 2共立蒲原総合病院脳神経外科 3東京女子医科大学脳神経センター神経放射線科
ページ範囲:P.1071 - P.1077
文献購入ページに移動脳血管閉塞性疾患が脳血管障害のうちで占める頻度はきわめて高く,とくに高齢者に好発し,脳神経外科医もしばしば遭遇する.症状は,年齢,基礎疾患,閉塞部位および側副血行路のいかんにより,無症状のものから突然の死に至るものまで多彩である4,6,1,19).
われわれは,40歳の女性で頭蓋外において両側内頸動脈および左椎骨動脈が完全に閉塞を起こしているにもかかわらず,左眼の眼前暗黒発作のみを症状とした症例を経験した配本症例は,脳血管撮影所見より稀な,かつ多彩な側副血行路を有し,また右椎骨動脈にも閉塞を疑わせる所見を有していた.本症例におけるよく発達した多彩な側副血行路,およびその発生原因について若千の考察を加えて報告する.
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