文献詳細
文献概要
症例
浅側頭動脈—中大脳動脈皮質枝の吻合手術後に起こった小脳内血腫
著者: 江口恒良1 米川泰弘1
所属機関: 1チューリッヒ大学脳神経外科
ページ範囲:P.1085 - P.1088
文献購入ページに移動Ⅰ.はじめに
浅側頭動脈(STA)—中大脳動脈皮質枝(cortical MCA)のbypass surgeryはcerebral ischemiaの治療において,今や確固たる位置を占めている.このbypass surgeryは,我々のクリニックでは,1967年の10月以来(Yasargilによる最初の手術10))今日まで,76の症例に行われ,世界では,その数500以上を数える2).そしてこの手術に関する利点がこれまで数多く報告されてきた.手術死亡率は非常に低いと言われ(3%以下)11),術後合併症が少ないこともまた良く知られていることである.
最近我々のクリニックにおいて,bypass surgeryの術後合併症として,小脳内血腫(剖検にて確認)を起こし,術後2日以内に死亡した2例を経験したので,ここに報告し,あらためて,この種の合併症に注意を換起したいと思う.というのも,小脳内血腫は,迅速適確な診断,手術処置により治療できるものがあるからである7).
浅側頭動脈(STA)—中大脳動脈皮質枝(cortical MCA)のbypass surgeryはcerebral ischemiaの治療において,今や確固たる位置を占めている.このbypass surgeryは,我々のクリニックでは,1967年の10月以来(Yasargilによる最初の手術10))今日まで,76の症例に行われ,世界では,その数500以上を数える2).そしてこの手術に関する利点がこれまで数多く報告されてきた.手術死亡率は非常に低いと言われ(3%以下)11),術後合併症が少ないこともまた良く知られていることである.
最近我々のクリニックにおいて,bypass surgeryの術後合併症として,小脳内血腫(剖検にて確認)を起こし,術後2日以内に死亡した2例を経験したので,ここに報告し,あらためて,この種の合併症に注意を換起したいと思う.というのも,小脳内血腫は,迅速適確な診断,手術処置により治療できるものがあるからである7).
掲載誌情報