文献詳細
研究
下垂体腺腫の組織培養におけるGH,PRL,LHおよびFSH分泌能の経時的変化
著者: 久保長生1 氷室博1 上条裕朗1 喜多村孝一1 出村黎子2 出村博2 鎮目和夫2
所属機関: 1東京女子医科大学脳神経センター脳神経外科 2東京女子医科大学脳神経センター内科
ページ範囲:P.1135 - P.1141
文献概要
近年,下垂体腺腫におけるホルモン分泌動態および形態学的研究についての報告は数多くみられるようになった,さらに,今までnon-functioning tumorといわれてきた嫌色素性下垂体腺腫においても,ホルモン分泌能があることが知られてきた.これらはradioimmunoassayの進歩により,各種ホルモンの測定が可能となり,組織培養によるホルモン分泌能の検索や,腫瘍組織内のホルモン濃度の測定が行われるようになったためである.しかし,下垂体腺腫の組織培養での各種ホルモンの経時的分泌能についての報告は少ない.
今回,われわれはacromegalyおよびnon-acromegaly症例の下垂体腺腫に対する手術によって摘出された腫瘍組織について,組織培養を行い,培養液中の成長ホルモン(GH),プロラクチン(PRL).LHおよびFSHを経時的に測定した,また,これらの症例の血漿中ホルモンおよび腫瘍組織内ホルモン含量をも同時に測定した.これらの結果,acroinegaly症例の下垂体腺腫にGHのみならず,PRLの分泌能を有するものがあることがわかった.また,non-acromegaly症例の下垂体腺腫に,GHおよびPRL分泌例がみられた.この研究において,下垂体腺腫のGHとPRLのin vitroにおける分泌能には両者において相違があることがわかった.
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