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症例
VP-shunt後intractable ascitesにCarboquoneが著効を呈したmedulloblastomaの1症例
著者: 森照明1 嘉山孝正1 片倉隆一1 和田徳男2
所属機関: 1東北大学脳疾患研究施設脳神経外科 2国立仙台病院脳神経外科
ページ範囲:P.1299 - P.1303
文献購入ページに移動1898年Ferguson6)により頭蓋内圧亢進に対し脳脊髄液のドレナージが実施されたが,感染多発,材質不良などのためその後は断念されていた,しかし1960年代に入り,種々の材料のドレーンが開発されて以来感染の危険も少なくなり,水頭症,脳腫瘍,その他の疾患にshunt手術は広く用いられるようになってきた.特に後頭蓋窩腫瘍に関しては,1963年Abraham1)がその有効性を発表したが,以来術前術後に実施されるshunt手術の有用性は明らかとなっている.しかし,それと同時にshunt手術によるcomplicationも多数報告されるようになった下その内にはまれではあるが,shunt tubeを介しての頭蓋外転移の症例報告3,4,11,13,17),あるいはintractable ascitesの報告がある9,15).
最近我々は脳室腹腔吻合術(以下VP-shunt)を施行した小児medulloblastoma患者が術後,intractable ascitesを生じ,腹水内には中型の単核細胞の増殖がみられ,shunt tubeを介しての腹腔内転移が疑われた症例を経験した.
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