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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科5巻13号

1977年12月発行

文献概要

総説

中枢神経の伝達物質—グルタミン酸を中心に

著者: 高垣玄吉郎1

所属機関: 1東京都神経科学総合研究所神経生化学研究室

ページ範囲:P.1311 - P.1317

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Ⅰ.はじめに
 脊椎動物に関しては,末梢神経の伝達物質の大部分はアセチルコリンとノルアドレナリンによって説明できるのは周知なことである.しかし中枢神経では,この2つの物質によって伝達されるシナプスは全体の10%程度であろうと言われる.残りのうち,半分が抑制性シナプスであるとして,GABAが主な伝達物質であることはますます確かなものとなりつつある10).グリシンもまた主要な抑制性伝達物質であろう6,7)
 一方,興奮性伝達物質のほうは確かなことはほとんどわからないながらも,グルタミン酸とアスバラギン酸が最も有力な候補とされている8).大塚正徳(医歯大・薬理)ら6,12)は,substance Pが脊髄の一次知覚ニューロンの伝達物質であるという多くの根拠をあげた.Substance Pは分子量1340のペプチドであり,従来から知られている伝達物質(候補)がすべて分子量100-200であることと際立った相異である.中枢神経の伝達物質(候補)のうちでは,ゲルタミン酸の濃度が著しく高い.グルタミン酸が伝達物質であることの確証を実験的研究によってうることが困難であるのは,このためであるように思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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