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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科5巻13号

1977年12月発行

文献概要

診断セミナー

Parinaud症候群

著者: 村井由之1

所属機関: 1九州大学脳神経病研究施設神経内科

ページ範囲:P.1325 - P.1328

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はじめに
 Parinaud症候群は神経学における多くの症候群の中で最もpopularな症候群の1つであるが,その定義は人によってまちまちで,多くの混乱をひき起こしている.その原因は,Parinaud症候群に関する歴史そのものにあるが,後藤4)は混乱の原因となっている本症候群の歴史を詳しく述べているので参照されたい.まずその歴史を簡単に要約する.
 Parinaudは中枢性の眼球運動障害に興味をもち,いろいろの型の注視麻痺を記載したが,その中に垂直方向の運動麻痺の症例が含まれている7,8).しかしながら,上方注視麻痺はParinaudより以前,1864年Henoch5)によってすでに記載されており,その責任病巣として四丘体が考えられていた.Wernicke16)も四丘体の軟化によって垂直注視麻痺を来たした症例を報告している.Parinaud症候群と言う呼び名は,最初Grasset(1905)4)によって側方注視麻痺に対して用いられたが,その時は垂直注視麻痺は含まれていなかった.その後いろいろ異なった症候の組合せがParinaud症候群の名によって報告されたが,しだいに上方注視麻痺を中心とした症候の組合せに用いられるようになり,下方注視麻痺を加えるか否か,輻輳麻痺を加えるか否かが主として問題になった.また,それに瞳孔反射の消失を含めるか否かも問題で未解決のままである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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