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研究
脳腫瘍の器官培養—走査電子顕微鏡による培養態度の観察
著者: 氷室博1 熊田徹昭1 久保長生1 上条裕朗1 喜多村孝一1 沖野光彦2
所属機関: 1東京女子医科大学脳神経センター脳神経外科 2木村病院脳神経外科
ページ範囲:P.1343 - P.1348
文献購入ページに移動Rubinsteinら5),Sipeら6)により1973年,glioblastomaとcerebellar astrocytomaのorgan culture法による組織培養がなされ,その組織像について光顕,電顕所見が報告された.彼らによると器官培養法の利点は,originalの組織構造が維持されやすいこと,in vitroでの細胞の形態がin vivoでの形態を忠実に再生すること,fibroblastの遊走,増殖が抑制されることなどである.
著者らもthree dimensional matrixとしてgelfoam(gelatin sponge foam)を使用し,gelfoam organ cultureとして脳腫瘍の各組織型について培養を行い,良好な結果を得てきており,この方法が脳腫瘍の形態学的研究にすぐれた実験モデルになりうることを評価してきた1,2).著者らは,腫瘍組織がこのthree dimensional matrixに培養維持される状態,gefloam内へ浸潤増殖してゆく態度を立体的に観察したいと考えた.そしてこのたび経験したいわゆるgiant-celled glioblastomaをこのgelfoam organ culture法で培養し,30日間維持してこれを走査電子顕微鏡で観察することができたので,培養態度について2, 3の所見を述べてみたい.
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